トップ
>
洞察
>
どうさつ
ふりがな文庫
“
洞察
(
どうさつ
)” の例文
そしてそのためには、人の心理を
洞察
(
どうさつ
)
する
聡明
(
そうめい
)
な
智慧
(
ちえ
)
と、絶えず同化しようと努めるところの、献身的な意志と努力が必要である。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
彼はありふれた
洞察
(
どうさつ
)
力によって、隣席の娘の初心な純潔の様子に心を打たれたのだった。彼女の良識と沈着とに感心したのだった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そしてその男の話に充分の理解と最も
明晰
(
めいせき
)
な
洞察
(
どうさつ
)
をもって、今の社会の
如何
(
いか
)
に改造すべきや、現内閣の政治上の事に至るまで
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
昔の絵かきは自然や人間の天然の姿を
洞察
(
どうさつ
)
することにおいて常人の水準以上に卓越することを理想としていたらしく見える。
からすうりの花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
後世の批評者達はベートーヴェンにはやや虚勢と見得があり、モーツァルトには、偽悪的な自暴な調子があることを
洞察
(
どうさつ
)
しなければならない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
▼ もっと見る
侠者子路はまずこの点で
度胆
(
どぎも
)
を
抜
(
ぬ
)
かれた。
放蕩無頼
(
ほうとうぶらい
)
の生活にも経験があるのではないかと思われる位、あらゆる人間への
鋭
(
するど
)
い心理的
洞察
(
どうさつ
)
がある。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それに私の話相手の性格を
洞察
(
どうさつ
)
することは不可能である——少くとも現在では出來ないことである——ことを感じ、また何も知らないといふことが分ると
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
禅門の徒の先験的
洞察
(
どうさつ
)
に対しては言語はただ思想の妨害となるものであった。仏典のあらん限りの力をもってしてもただ個人的思索の注釈に過ぎないのである。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
そして何もかも
洞察
(
どうさつ
)
しているらしい
口吻
(
くちぶり
)
に、
強
(
た
)
って、虚構も云い通せず、ふたたび門内へ入って、彼を外に待たしておいたが、ようやく姿をあらわすと、今度は
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕は、この種の暗号の造作なく解けるものであることを君に納得させ、またその展開の理論的根拠にたいする多少の
洞察
(
どうさつ
)
を君に与えるために、もう十分話したのだ。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
洞察
(
どうさつ
)
の明を欠いてはいなかったか。注意の慎重さを欠いてはいなかったか。いつとなくうっかりしてはいなかったか。おそらく多少その気味があったかも知れない。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それどころか反対に、あなたの深いご
洞察
(
どうさつ
)
に相応して、それをもっとも人間的で、もっとも人間にふさわしいものと思っておられる。あなたはまたこの機械装置を感嘆しておられる。
流刑地で
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
憑
(
つ
)
かれたやうに、富岡は邦子の細面の顔を見てゐた。この秘密を妻に何も
彼
(
か
)
も打ちあけたい気がした。富岡は疲れてへとへとな気持ちだつた。妻に、自分の秘密を
洞察
(
どうさつ
)
して貰ひたかつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
この際、深くこの国を注目し、世界の大勢をも
洞察
(
どうさつ
)
し、国内のものが同心合体して、太陽はこれからかがやこうとの新しい希望を万民に
抱
(
いだ
)
かせるほどの御実行をあげさせられるようにしたい。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その僧は新しい科学の話をも深い
洞察
(
どうさつ
)
と自信とを以てかれに話した。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「馬鹿言へ。甘糟の
痒
(
かゆ
)
きに
堪
(
た
)
へんことを僕は
丁
(
ちやん
)
と
洞察
(
どうさつ
)
してをるのだ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
洞察
(
どうさつ
)
していたらしいということだけは言っておこう。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
意地悪な光が輝いてるその
洞察
(
どうさつ
)
的な眼の鏡の中で、自分のありのままの姿を見てとった。そしてあまり得意にはなれなかった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
平次はもう或る程度の
洞察
(
どうさつ
)
をして居たのでせう。親切に國松を迎へると、盃をつけて、その前へ押しやつたりするのです。
銭形平次捕物控:185 歩く死骸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あなた方はあまり深く人心を
洞察
(
どうさつ
)
しすぎるよ。あれは倉持が
惚
(
ほ
)
れていたのです。それにちがいはありません。そして
嫉妬
(
やきもち
)
も男の方が焼いたのさ。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
つまり彼は、遼東の君臣が、袁家の圧力に対して、多年伝統的に、反感や宿怨こそ持っているが、何の恩顧も好意も寄せていないことを、
疾
(
と
)
くに
洞察
(
どうさつ
)
していたからである。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
市井の流行風俗、生活状態のようなものはもちろん、いろいろな時代思潮のごときものでも、すぐれた作者の鋭利な直観の力で未然に
洞察
(
どうさつ
)
されていた例も少なくないであろう。
科学と文学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
恋人と呼ばるる
酩酊者
(
めいていしゃ
)
にとっては一つの神があるものである。マリユスは盲目でありながら、
洞察
(
どうさつ
)
の明をそなえていたのと少しも変わらない道をたどったのである。恋は彼の目をおおっていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ゆき子は、富岡の心のなかを
洞察
(
どうさつ
)
してゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
そして彼女の愛情は、クリストフが押えかねてる情熱の激発にたいして、
洞察
(
どうさつ
)
的な微笑を浮かべながらみずから
警
(
いまし
)
めていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あの試合を仕かけた彼の目的からそれを
洞察
(
どうさつ
)
すると、あれは武蔵の売名にやった仕事だ。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宗教は往々人を
酩酊
(
めいてい
)
させ官能と理性を
麻痺
(
まひ
)
させる点で酒に似ている。そうして、コーヒーの効果は官能を鋭敏にし
洞察
(
どうさつ
)
と認識を透明にする点でいくらか哲学に似ているとも考えられる。
コーヒー哲学序説
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その直覚力は、病気のために鋭くなり、また、同様な生活のうちに親愛な母親が耐えていた辛苦を思い出しては、さらに
洞察
(
どうさつ
)
的になっていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
歴史の実をもって、現状の変を
洞察
(
どうさつ
)
し、また時局の底流を
按
(
あん
)
じ、多年、身は秀吉の一幕下に置いては来たが、心は高く栗原山の
山巓
(
さんてん
)
から日本中のうごきと、時代の
帰趨
(
きすう
)
とを大観して——或る結論を
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
偶然にもその男から離れると——その
洞察
(
どうさつ
)
的な愛が自分の上にのしかかってくるのをもう感じなくなると——自分の身が自由になると——ただちに
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
楽曲にたいする彼女の
洞察
(
どうさつ
)
力を見るとうれしかった。一言いってやったばかりで彼女がその表現すべき感情にぴたりとはまるときには、ことにうれしかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼はまだ女性をよく理解していなかったが、彼女は鈍い
洞察
(
どうさつ
)
力をもって女性を批判していた。ことに彼は彼女のおかげで、劇をよりよく理解するようになった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ただクリストフだけが、膨張したくてたまらず生気にあふれていたので、向こう見ずなしかも
洞察
(
どうさつ
)
的な広い同情の念で、彼らから知られないまに彼らを皆包み込んでいた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
生きたる知力の方を、男子にたいして働かし得る知力の方を、彼女は好んでいた。彼女の楽しみとするところは、人の魂を
洞察
(
どうさつ
)
することであり、その価値を測定することであった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それは一種の無意識的な公明さであり、やむにやまれぬ真実の欲求であって、そのために彼は、最も親愛なる人にたいして、ますます
洞察
(
どうさつ
)
的になりますます気むずかしくなるのだった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
オリヴィエは、人から遠く離れてるときには、もっとも
洞察
(
どうさつ
)
の明があってもっとも欺かれなかった。しかしやさしい両の眼の前に出ると、率直な信頼さをもっとも多く見せるのだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それなのに、物語音楽を作っていない(というのは、ギュスターヴ・シャルパンティエの通俗物なんかは、物語音楽とは言えないから)。君たちは心理解剖の天分や性格
洞察
(
どうさつ
)
力などを利用していない。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“洞察”の意味
《名詞》
洞察(どうさつ)
物事を優れた観察力で見抜くこと。
(出典:Wiktionary)
洞
常用漢字
中学
部首:⽔
9画
察
常用漢字
小4
部首:⼧
14画
“洞察”で始まる語句
洞察力