波路なみじ)” の例文
小鳥ことりが、ふねのほばしらのさきまっていたときに、おひめさまは、ふねられました。そして、はるばると波路なみじられてゆかれました。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
波路なみじ遥かな都をしのんで溜息をつきながら、一日を茫然と過ごしてしまうのであったが、俊寛はそうした生活を根本から改めようと決心した。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
明和めいわ戌年いぬどしあきがつ、そよきわたるゆうべのかぜに、しずかにれる尾花おばな波路なみじむすめから、団扇うちわにわにひらりとちた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
一度は割れて真白な果肉のあらわれ居るもの、他の二つは皮に包まれたもので、どの辺の沖の小島から海にうかんだものかは今でもわからぬが、ともかくも遥かな波路なみじを越えて
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と、海上の警戒にもおさおさ油断なく、また波路なみじは長時間になるので
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなわち日の神の後裔こうえいという想像は、この海上の国において承認せられやすかったので、それというのもその本源のニライカナイが、八重やえ波路なみじはるかあなたとは言いながらも
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかしどのふねもなんとなく活気かっきづいていました。天気てんきになるのをって、またなが波路なみじってかけようとするので、そのまえにこれを機会きかい骨休ほねやすみをしているようにられました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
波路なみじ。いま戻ったぞ」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)