すこ)” の例文
えらぶ物から功驗しるしすこしもあらずして次第漸次しだいおもり行き昨今にては到底とても此世の人には非じと醫師も云ひ吾儕共わたくしどもも思ひますれば節角せつかくお娘御を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
サンタと名告なのれる夫人は、嬉しげに我等二人を迎へて、一坐の客達に引合せ、又我等に、すこしも心をおかで家に在る如く振舞はんことを勸めたり。
が、二葉亭自身は一時の経済上の必要のため拠ろなく筆を操ったので、再び文壇に帰るツモリはすこしもなかった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「だッてそうじゃ有りません。貴君あなたが貴君の考どおりに進退して良心に対してすこしもはずる所が無ければ、人がどんなかおをしたッていじゃ有りませんか」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そこで、どうしてよいか分からぬ悲しい心の有様を「道の知らなく」と云っても、感情上すこしも無理ではない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
座敷へかえってもそれから何だか気に懸るようなことが出来て、しかも心配はすこしもないが胸さわぎがするので、烟草も沈着おちついて吸えずに半分で灰吹のうちへ葬った。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
左様な事とはすこしも知らぬ粂之助が、丁度お梅が家出をした其の翌朝よくあさのこと、兄の玄道げんどうが谷中の青雲寺まで法要があって出かけた留守、竹箒を持ってしきりに庭を掃いていると
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これでは捜索の前途には、殆どすこしの光明をも認めることが出来ない。しかしわたくしは念晴ねんばらしのために、染井へ尋ねにった。そして墓地の世話をしているという家を訪うた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
去年の暮から全半歳まるはんとし、その者のめに感情を支配せられて、てもめても忘らればこそ、死ぬよりつらいおもいをしていても、先ではすこしも汲んでくれない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
水面は全く水の動揺を収めてこの事件をすこしも暗指あんじしてゐる様な気色けはひがない。ややしばらくすると、童はつひにむなしく水面に浮上つて来て、しきりに手掌てのひらで顔をでた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
されどわが姫を悦ぶ心はこれがためにすこしも減ぜず。このをさなき振舞はかへりてあやしく我心にかなひき。
さぞ叔母がいやかおをするこったろうナア……眼に見えるようだ……しかしそんな事を苦にしていた分にはらちが明かない、何にもこれが金銭を借りようというではなし、すこしもはずかしい事はない
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
六十里峠はまだ一面の雪であつたが、山国の少年等はそんなことにはすこしも屈しない。『先生は福島中佐見たいだなえ』『ほだ、先生は福島中佐だ』こんなことを云ひ云ひ少年等は峠を越えた。
最上川 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
夫人に語らば定めて喜ぶことならん。されどいかなればはや我們われらたづねんとはせざりし。カステラマレに來てより既に八日になりぬ。われ。君達のこゝにいますべしとは、すこしも思ひ掛けざりき。