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此上
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このうえ
ふりがな文庫
“
此上
(
このうえ
)” の例文
道徳的には
此上
(
このうえ
)
もなく評判の悪い男でしたが、彼がその性格において、
田舎
(
いなか
)
源氏の光氏であり、一代男の
世之介
(
よのすけ
)
であればあるほど
奇談クラブ〔戦後版〕:03 鍵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
恋の相手とは、なにやら物足らぬ心地もするが、またそなた程のよい若衆が、そう恋い焦れる位なら、定めて
此上
(
このうえ
)
ない美女であろう
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「ただもうお金がたよりだ」といって、確実な知合いに小金を貸したりして、少しずつ貯金を
殖
(
ふや
)
して行くのを
此上
(
このうえ
)
もない楽しみにしていた。
心理試験
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
打
(
ぶ
)
っても叩いても仕方がない。
此上
(
このうえ
)
は、お葉の白い手を切るか、冬子の黒い髪を切るか、二つに一つを
択
(
えら
)
ぶの
他
(
ほか
)
は無かった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もう
此上
(
このうえ
)
横浜
(
はま
)
に居たって、面白いことは降って
来
(
こ
)
やしないよ。お前たちは苦しくなる一方だ。いい
加減
(
かげん
)
に
見切
(
みきり
)
をつけて、
横浜
(
はま
)
をオサラバにするんだ。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
彼女の生前、私は自分の製作した彫刻を何人よりもさきに彼女に見せた。一日の製作の終りにも
其
(
それ
)
を彼女と一緒に検討する事が
此上
(
このうえ
)
もない喜であつた。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
彼は、何だか、
眼前
(
めさき
)
が急に明るくなったように感じられた。腹心の、
子飼
(
こがい
)
の弟子ともいうべき子分達に、一人残らず背かれたことは、彼にとって
此上
(
このうえ
)
ない
淋
(
さび
)
しいことであった。
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
人間が新しい食物に
馴
(
な
)
れるまでには蝸牛に対するのと同じ
気味
(
きみ
)
悪さを経験したに違いないと主張する。云われて見ればそうかも
知
(
し
)
れないが、日本人にとっては
無気味
(
ぶきみ
)
此上
(
このうえ
)
もないものである。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
造化の妙といえば妙
此上
(
このうえ
)
ないが、考えてみると滑稽なものですね。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
一般の美人の標準にはずれた、その代りには私丈けには
此上
(
このうえ
)
もない魅力を感じさせる種類の女性であった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
懐中
(
ふところ
)
を探ると、
燐寸
(
まっち
)
の箱は
既
(
も
)
う
空虚
(
から
)
であった。彼は
舌打
(
したうち
)
して
明箱
(
あきばこ
)
を
投
(
ほう
)
り出した。
此上
(
このうえ
)
は何とかして燐寸を求め得ねばならぬ。重太郎は思案して町の
方
(
かた
)
へ歩み去った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此上
(
このうえ
)
寂しい
空
(
あき
)
屋敷にいるより、思い切って、北海道の奥の
年老
(
としと
)
ったお
祖母様
(
ばあさま
)
の許へ行こう、麗子は悲しくも
斯
(
こ
)
う決心して、そっと
邸
(
やしき
)
を抜け出し、上野停車場へ行こうとして居るところだったのです。
向日葵の眼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
操一氏は桜井栄之丞氏とは私交上でも事業関係でも、
此上
(
このうえ
)
もない親密な間柄であったから、守に云われるまでもなく、見舞いに駈けつけなければならなかった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
恋敵の前に頭を下げて、
物乞
(
ものご
)
いをしている自分自身が、
此上
(
このうえ
)
もなくみじめに見えた。
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼等の死と共に、彼等の本拠、彼等の製造工場は、
跡方
(
あとかた
)
もなく焼きはらわれ、百年に一度、千年に一度の大陰謀も、遂に
萠芽
(
ほうが
)
にして刈られてしまった。人類の
為
(
ため
)
慶賀
此上
(
このうえ
)
もなきことである
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼はあらゆる女性の代表者として、木下芙蓉を、
此上
(
このうえ
)
憎み様がない程憎んだ。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして、頭の中
丈
(
だ
)
けで色々な空想を廻らしては、これもつまらない、あれも退屈だと、
片端
(
かたはし
)
からけなしつけながら、死ぬよりも辛い、それでいて人目には
此上
(
このうえ
)
もなく安易な生活を送っていました。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼が
依恬地
(
いこじ
)
に病気のことを隠していたのも、一つはこういう感情に
妨
(
さまた
)
げられたからであった。尤も一方では、二十三歳の彼には、それを打開けるのが
此上
(
このうえ
)
もなく気恥しかったからでもあるけれど。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ということは、あらゆる貧乏人、あらゆる家族所有者の、
羨望
(
せんぼう
)
の
的
(
まと
)
である所の、
此上
(
このうえ
)
もなく安易で自由な身の上を意味するのだが、柾木愛造は不幸にも、その
境涯
(
きょうがい
)
を楽しんで行くことが出来なかった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
綿密
此上
(
このうえ
)
もない調査がくり返された。併し、何の新発見もない。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“此上”で始まる語句
此上無