横様よこざま)” の例文
達二は思ひ切って、そのまん中のを進みました。けれどもそれも、時々れたり、牛の歩かないやうな急な所を横様よこざまに過ぎたりするのでした。それでも達二は
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
(若い坊様連れて川へ落っこちさっしゃるな、おらここに眼張がんばって待っとるに、)と横様よこざまに縁にのさり。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
存分酒を飲まされた一寸法師は、やがて、そこへ横様よこざまほうり出された。彼は丸くなって、百日咳ひゃくにちぜきの様に咳入せきいった。口から鼻から耳から、黄色い液体がほとばしった。
踊る一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
くつさきもて押へたる五色ごしきたまを、小槌こづちふるひて横様よこざまに打ち、かの弓の下をくぐらするに、たくみなるは百に一つを失はねど、つたなきはあやまちて足など撃ちぬとてあわてふためく。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ただ向い風が身体からだにあたるので骨のおれる気がした。見渡す限り、そして上の方へ登れば登るほど、松林の海で、それも今風をうけて見渡すかぎり一様に横様よこざまになびいている。
返事がないので変だと思って怪訝けげんそうに入口を覗き込んだ爺は、われ知らず小屋の壁へぴったり体をすり附けた。婦が子供に乳首をくわえさせて半裸体のまま横様よこざまに寝ているのだ。
土城廊 (新字新仮名) / 金史良(著)
が、そう云い終ると同時に、突然ジナイーダはかすかな呻声うめきごえを発してクラクラと蹌踉よろめいた。法水は危く横様よこざまに支えたが、額からネットリした汗が筋を引いて、顔面は蝋黄色を呈している。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
達二たつじは思い切って、そのまん中のをすすみました。けれどもそれも、時々れたり、牛の歩かないようなきゅうところ横様よこざまぎたりするのでした。それでも達二は
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
与吉が身体からだを入れようという家は、すぐ間近まぢかで、一ちょうばかりくと、たもとに一本暴風雨あらし根返ねがえして横様よこざまになったまま、半ば枯れて、半ば青々とした、あわれな銀杏いちょう矮樹わいじゅがある、橋が一個ひとつ
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「わつ、」といて、雪枝ゆきえ横様よこざますがりついた、むね突伏つゝふせて、たゞおのゝく……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)