-
トップ
>
-
早過
>
-
はやす
三四郎は其
夕方野々宮さんの所へ出掛けたが、時間がまだ少し
早過ぎるので、散歩かた/″\四丁目迄
来て、
襯衣を買ひに大きな
唐物屋へ
入つた。
『
一度はあんまり
早過ぎたし、
一度はあんまり
遲過ぎました。
丁度好い
時を
知らなければ、
好い
榎木の
實は
拾はれません。
私がその
丁度好い
時を
教へてあげます。』と
申しました。
この
人は、まだ
御身に
引き
合わせるのには
少し
早過ぎるかとは
思われたが、ただ
本人が
是非御身に
逢いたい、一
度逢わせてもらえば、
気持が
落ついて、
修行も
早く
進むと
申すので
従兄妹同
志で
恋し合つて、青木さんの
境遇にすれば
多少早過ぎもしたのであつたが、
互に
思ひつめた
若々しい
熱情のまゝに
思ひ
切つて
結婚生活にはいつた二人は、まる三年
間を
※たその
頃になつて
「もう学校は引けたのかい。
早過ぎるぢやないか」
『
早過ぎた。
早過ぎた。』と
鳴きました。