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新仏
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しんぼとけ
ふりがな文庫
“
新仏
(
しんぼとけ
)” の例文
旧字:
新佛
「お民、お前なぜ死んでしまつただ?」——お住は我知らず口のうちにかう
新仏
(
しんぼとけ
)
へ話しかけた。すると急にとめどもなしにぽたぽた涙がこぼれはじめた。……
一塊の土
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この日も定まった食物を調じ、人が共々に食事をすることは同じだが、一名を死人の正月、
新仏
(
しんぼとけ
)
の正月ともいう位で、ちっともめでたくはない正月であった。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
きのう埋めたばかりの
新仏
(
しんぼとけ
)
の……。その新仏の墓をほりかえして……。もうそのあとは申上げられません。
人狼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
同時
(
どうじ
)
に一
昨年
(
さくねん
)
の
冬
(
ふゆ
)
、
衣絵
(
きぬゑ
)
さん、
婿君
(
むこぎみ
)
のために
若奥様
(
わかおくさま
)
であつた、
美
(
うつく
)
しい
夫人
(
ふじん
)
がはかなくなつて
居
(
ゐ
)
る……
新仏
(
しんぼとけ
)
は、
夫人
(
ふじん
)
の三
年目
(
ねんめ
)
に、おなじ
肺結核
(
はいけつかく
)
で
死去
(
しきよ
)
したのであるが……
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手桶片手に、
樒
(
しきみ
)
を
提
(
さ
)
げて、本堂をグルリと
廻
(
まわ
)
って、
後
(
うしろ
)
の墓地へ来て見ると、
新仏
(
しんぼとけ
)
が有ったと見えて、
地尻
(
じしり
)
に高い杉の木の
下
(
した
)
に、
白張
(
しらはり
)
の提灯が
二張
(
ふたはり
)
ハタハタと風に
揺
(
ゆら
)
いでいる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
したがって、影法師三吉が検めた
新仏
(
しんぼとけ
)
はいうまでもなく
代玉
(
かえだま
)
の与惣次であった。
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
仏間に入って見れば、二間幅の立派な仏壇に、
蝋燭
(
ろうそく
)
が何本も立てて、大きい銅の香炉に線香が
焚
(
た
)
いてある。真ん中にある白い
位牌
(
いはい
)
が
新仏
(
しんぼとけ
)
のであろう。香炉の向うを覗いて見ると、果して蛇がいる。
蛇
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
何も銀杏のせいと云う訳でもなかろうが、大方の
檀家
(
だんか
)
は寺僧の懇請で、余り広くない墓地の
空所
(
くうしょ
)
を
狭
(
せば
)
めずに、先祖代々の墓の中に
新仏
(
しんぼとけ
)
を祭り込むからであろう。浩さんも祭り込まれた
一人
(
ひとり
)
である。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新仏
(
しんぼとけ
)
の○○村の
豪家
(
ごうか
)
○○氏の娘の霊である、何か
故
(
ゆえ
)
のあって、
今宵
(
こよい
)
娘の霊が来たのであろうから、お前
達
(
だち
)
も
後々
(
のちのち
)
の
為
(
た
)
めに
窃
(
ひそ
)
かにこれを見ておけと告げて、彼等徒弟は、そっと
一室
(
ひとま
)
に隠れさしておき
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
初めは
新仏
(
しんぼとけ
)
の墓をあらして、死骸をほり出して喰っていたが、それがだんだんに増長して、此頃は往来の人間にまで飛びかかるようになって来たので、村中は大騒ぎで
人狼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
槌
(
つち
)
で庭掃く
追従
(
ついしょう
)
ならで、手をもて畳を掃くは
真実
(
まこと
)
。美人は
新仏
(
しんぼとけ
)
の身辺に坐りて、死顔を
恐怖
(
こわごわ
)
覗
(
のぞ
)
き
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは多分いわゆる
新仏
(
しんぼとけ
)
の立場と子孫の
祀
(
まつり
)
を受けずに迷っている三界万霊の態度とが、共に生人に好意をもたぬ点で、幾分か相通ずるものがあるように、考えられていた結果であろう。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
横浜の
新仏
(
しんぼとけ
)
が
燐火
(
ひとだま
)
にもならずに、飛んで来ている——成程、親たちの墓へ入ったんだから、不思議はありませんが、あの、
青苔
(
あおごけ
)
が蒸して、土の黒い、小さな先祖代々の石塔の影に
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
新
常用漢字
小2
部首:⽄
13画
仏
常用漢字
小5
部首:⼈
4画
“新仏”で始まる語句
新仏蘭西評論