文殊もんじゅ)” の例文
ひとりでもおのおの文殊もんじゅに劣らぬほど頭のいいのが、三人寄って智恵をしぼるんですから、この三人会議は、文殊跣足もんじゅはだしの智略の泉で。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
三人寄れば文殊もんじゅというが、それは少なくとも一と一とが寄った場合のことで、零と零との会合は百人集まっても零に過ぎない。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「三人寄れば文殊もんじゅの知恵とありますから、何とか知恵をお貸し下さいまし、ほんとにひとごとではありますまい」
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
拾得が文殊もんじゅ普賢ふげんなら、虎にった豊干はなんだろうなどと、田舎者が芝居を見て、どの役がどの俳優かと思い惑うときのような気分になっているのである。
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
さすれば彼女は必ずその場所をうかがう行動に出るであろう、これ労せずして金的きんてきを射る文殊もんじゅの妙智である。
五百羅漢製作においても多大の精進しょうじんを積まれ一丈六尺の釈迦牟尼仏しゃかむにぶつの坐像、八尺の文殊もんじゅ普賢ふげんの坐像、それから脇士わきし阿難迦葉あなんかしようの八尺の立像をもきざまれました。
赤本を耽読して悉く之をそらんじ、其他雑芸雑学に通じて衆愚に説法することを楽しむ一個の閑人であるが、胸に一物ある巧案という鍼医の画策によって文殊もんじゅの再生と言いらされ
春水と三馬 (新字新仮名) / 桑木厳翼(著)
釈迦しゃか文殊もんじゅ普賢ふげん勢至せいし観音かんおん御像おすがたはありがたいわけではありませんか。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……のみならず……万一そうして吾輩が法廷に立つような事があった場合には、仮令たとい文殊もんじゅの智慧、富楼那フルナの弁が吾輩に在りといえども、一言も弁解が出来ないように、この調査書は仕掛けてあるのだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
夜ひとりでいるのは剣呑けんのんだというので、一晩ずつ三人の家を順に提供し合って、三人寄れば文殊もんじゅ智力ちりょく鼎坐ていざして夜を徹することにした。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
三人よれば文殊もんじゅの智慧というけれど、この三人、寄るとさわると酒なので、智慧の出るひまもなさそうだ。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
国清寺に拾得じっとくと申すものがおります。実は普賢ふげんでございます。それから寺の西の方に、寒巌という石窟せきくつがあって、そこに寒山かんざんと申すものがおります。実は文殊もんじゅでございます。
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
遺作としては大きさ二尺位の文殊もんじゅの像がありましたけれども、学校の火事の時焼失しました。
釈迦しゃか文殊もんじゅ普賢ふげん勢至せいし観音かんおん、皆、名があるではありませんか。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「普賢菩薩のことか。じゃあおいらは、文殊もんじゅ様だ。普賢菩薩と文殊菩薩は、どこでも並んでいるからね」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
並製なみせいの人間でも、三人も集まれば、大智者だいちしゃ文殊もんじゅに匹敵するくらいの智恵がわくものだという。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
地蔵、観音、勢至せいし文殊もんじゅ普賢ふげん虚空蔵こくぞうなどある。それから天部てんぶという。これは梵天ぼんてん帝釈たいしゃく、弁天、吉祥天きっしょうてん等。次は怒り物といって忿怒の形相をした五大尊、四天、十二神将じんしょうの如き仏体をいう。
膝を折って、床に坐り、あたかも現世の文殊もんじゅ弥勒みろくでも見たように、何度も礼拝して止まなかった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三人れば……文殊もんじゅの智恵。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あいや、われらもとより浪々無住ろうろうむじゅうのともがらである。名のるほどの姓名流名を持ち合わせておらぬ者ゆえ、さいぜん申したとおり、文殊もんじゅとでも大日菩薩だいにちぼさつとでも、いいようにお書き入れください」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文殊もんじゅのご化身けしんだ)とか、また
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「三人寄れば文殊もんじゅの智恵」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)