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ぬき
ふりがな文庫
“
擢
(
ぬき
)” の例文
レオポルド大公はバッハを
擢
(
ぬき
)
んでて、宮廷礼拝堂管弦団の楽長に任じ、バッハは夫人と大勢の子供達をつれて、ケエテンに出発した。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
彼等は果して
赤裸々
(
まっぱだか
)
の個人として見て、それ程の人物であったか、其の言う所行う所、吾人凡俗を遥かに
擢
(
ぬき
)
んでていたのであるか。
論語とバイブル
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
しかしてかかる誤解の生じたのも、
畢竟
(
ひっきょう
)
この制度が立憲政治の数ある特色の中、特に
擢
(
ぬき
)
んでて最重最要のものであったからである。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
文政八年随斎が本藩
安濃津
(
あのつ
)
に開かれた藩校の講官に
擢
(
ぬき
)
んでられて江戸を発する時、竹渓は七古一篇を賦してその行を送ったことがある。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その各々のエッセンスを
擢
(
ぬき
)
んで、理解し、其専門化して歪められたる方向を正しきに引き戻すのは、文学者の綜合的知識と批判を
俟
(
ま
)
つの他は無い。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
▼ もっと見る
即ち自身の他に
擢
(
ぬき
)
んでて他人の得て我に及ばざる所のものを
恃
(
たの
)
みにするの
謂
(
いい
)
にして、あるいは才学の抜群なるあり、あるいは資産の非常なるあり
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
この高原は高い山でかこまれていたが、そのすべてに
擢
(
ぬき
)
んでる男体は、遠く行けば行く程、近くなるように見えた。図85はここから見た男体である。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
文部大臣が三君の中先ず第一に坪内君を
擢
(
ぬき
)
んで報ゆるに博士の学位を以てしたのは推薦者たる大学もまた坪内君の功労を認めざるを得なかったのであろう。
明治の文学の開拓者:――坪内逍遥――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
古来から
顕職
(
けんしょく
)
の栄位に
擢
(
ぬき
)
んでられて、却ってために、家を亡ぼし、身を害した者が史上にも多い。その
因
(
もと
)
を思うに、みな、
門閥
(
もんばつ
)
と内室のわずらいから起っておる。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わが子の
首
(
かうべ
)
擢
(
ぬき
)
んでられて、
寡
(
やもめ
)
となれる冠を戴き、かの
受膏
(
じゅかう
)
の
族
(
やから
)
彼よりいでたり 五八—六〇
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
旅費に窮している世高は、そこで世話になって
科挙
(
かきょ
)
に応ずることになり、読書に心をひそめていたが、やがてその日がきたので、試験に応じてみると及第して高科に
擢
(
ぬき
)
んでられた。
断橋奇聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
森なす
大芭蕉
(
おおばしょう
)
の葉の、沼の上へ
擢
(
ぬき
)
んでたのが、峰から
伸出
(
のしだ
)
いて
覗
(
のぞ
)
くかと、
頭
(
かしら
)
に高う、さながら馬の
鬣
(
たてがみ
)
のごとく、
譬
(
たと
)
えば長髪を乱した
体
(
てい
)
の、ばさとある
附元
(
つけもと
)
は、どうやら
痩
(
やせ
)
こけた
蒼黒
(
あおぐろ
)
い
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
臣
(
しん
)
は
素
(
もと
)
卑賤
(
ひせん
)
なり、
君
(
きみ
)
之
(
これ
)
を
(五)
閭伍
(
りよご
)
の
中
(
うち
)
より
擢
(
ぬき
)
んで、
之
(
これ
)
を
大夫
(
たいふ
)
の
上
(
うへ
)
に
加
(
くは
)
ふ。
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
此の南勝房という坊さんが覚海上人のことであって、順徳院の建保五年に高野山第三十七世執行検校法橋上人位に
擢
(
ぬき
)
んでられたというから、ざっと今から七百年前、鎌倉時代の実朝の頃の人である。
覚海上人天狗になる事
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
旋風
(
つむじかぜ
)
のやうに駆けて来る。その群が近づいたのを見ると、どれよりも
擢
(
ぬき
)
んでゝ、真つ先を駆けてゐるのは、きのふワシリが乗つて来た鼠色の馬である。一歩毎にその馬と外の馬との距離が遠くなる。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
パリ音楽院を出て、二十歳にしてコンセール・ラムルーの独奏者に
擢
(
ぬき
)
んでられたと言われる。マレシャルの境地は独特で、個性的だ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
明治中興大学少助教ニ
擢
(
ぬき
)
ンデラレ、山梨県徽典館ニ掌教タリ。旧ヲ改メ新ヲ
布
(
し
)
クヤ群議沸騰ス。
鞠躬
(
きっきゅう
)
緒ニ就ク。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何時
(
いつ
)
の世にも時流に
擢
(
ぬき
)
んでた芸術家はあり、数の中には、「これは」と思う作品も決して二つや三つでは無かったのであります。
奇談クラブ〔戦後版〕:07 観音様の頬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
学校を丹波丹六より一年先に卒業して、B興業株式会社に入ると、
擢
(
ぬき
)
んでられて
直
(
ただ
)
ちに社長秘書になり、二三年経つうちにはもう、社内で飛ぶ鳥を落す勢いになっていたのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:11 運命の釦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は二本
灯心
(
とうしん
)
の
行灯
(
あんどん
)
を引寄せて、踏台の上に腰を掛けました。広々としたお勝手は念入りに磨き抜かれて、
塵
(
ちり
)
一つない有様、十七年間忠勤を
擢
(
ぬき
)
んでたという、お越の働き振りが思いやられます。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
擢
漢検準1級
部首:⼿
17画
“擢”を含む語句
抜擢
御抜擢
拔擢
擢出
羽子擢
崩擢
擢揮
擢架
擢片
擢用
艫擢