推参すいさん)” の例文
旧字:推參
彼は娘が大納言の屋形へ推参すいさんしたことをちっとも知らなかったのであった。その頃の女のたしなみとして、行綱は娘にも和歌を教えた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
客人まろうどにもの申す。末座にまかりある者ゆえ、わざと御挨拶をひかえていましたが、お目にとまったようにござれば、かくは推参すいさん申してござる。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お立て下さるよう、あなた様のお情けにすがりたく、これまで推参すいさん致しました、なにとぞ兄の身をお立て下されまして
推参すいさん! 何奴じゃ、名を名乗れ!」頼母は、立ち上がると、刀を抜いて鞘を後へ投げて、足で行灯を蹴った。
仇討禁止令 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
大先生だいせんせいは居られぬか。王水険おうすいけん大先生のお部屋はどこであるか。只今金博士が推参すいさんいたしましたぞ」
或日あるひ奥平の屋敷に推参すいさんして久々の面会、四方山よもやまの話のついでに、主人公が一冊の原書を出して
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
推参すいさんの客は自ら名のり、牧師の紹介しょうかいで会堂を見せてもらいに来たと云うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その文面はね「今夜十二時の時計を合図に貴殿の手許に集っている寄附金を頂戴に推参すいさんする。御用意を願う」というのです。随分酔狂すいきょうな奴もあったもので、泥坊の予告をして来たのですよ。どうです。
盗難 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「小僧推参すいさん!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こばみのあろうはずはないが、改めて、御加盟のことおすすめに、一党の使者として、わざと夜中やちゅう推参すいさんしたわけでござる
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あ、槍の御高名を承わりました。それ故、一手の御教授を下し置かれたく推参すいさん致しました次第でござりました」
おびて推参すいさんした者です。おしとねに在っては、取調べがならん。法の尊厳をお守りあって、座をお退がりください
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おそれ多けれど、宮をあの世へお送りし奉れと申しつかり、ぜひなく推参すいさんいたしてござりまする」
「——明智の者が推参すいさんいたしたのです。まぎれもなき桔梗旗ききょうのはたを振りさわいで」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
推参すいさん下種げすどもめが、目ざわりだわ。とッとと船を遠くへ避けい!」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よくは理由ことわけもわきまえぬ身をもって、推参すいさんであろう。おちつけ!」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おれは、いつぞや推参すいさんした日本左衛門。切通しの晩の返礼は、充分うけてくれたようだな。しかし、今日は御苦労だった。屋敷へ帰ったら万太郎殿という坊ッちゃんに、よろしく言っておいてくれ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われわれは故浅野内匠頭の家来共にて候が、今暁、本所の吉良邸へ推参すいさん、上野介殿のしるしを乞いうけて、本意を達し、故殿の御墓前にそなえんものと、一同、当菩提所とうぼだいしょまで引き揚げて参りました。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
推参すいさん雑兵輩ぞうひょうばら、ここを無人の砦と思うてまぎれ入ったか」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やあ、推参すいさんな。これは院の御車みくるま、院の御幸ごこうなるぞ」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
推参すいさんなり、野鼠やその将」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
豎子じゅしッ。推参すいさん!」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「下郎、推参すいさん
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
推参すいさんな」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
推参すいさん
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)