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しこ
ふりがな文庫
“
指呼
(
しこ
)” の例文
鯖
(
さば
)
の背のような海洋を長く区切る半島線の一端に、白壁、石垣、やぐらなどの、末森城の影を、
指呼
(
しこ
)
する距離に、望み得るであろう。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小松川と中川にかこまれた
平井
(
ひらい
)
の洲。川のむこうはもう
葛飾
(
かつしか
)
で、ゆるい起伏の上に、四ツ木、
立石
(
たていし
)
、小菅などの村々が
指呼
(
しこ
)
される。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ほどよく感心してビラミッドへ登ると、頂上に獅子像が頑張っていて、いま見たパノラマの現場は
指呼
(
しこ
)
のうちだ。
踊る地平線:04 虹を渡る日
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「山峡」同人の
指呼
(
しこ
)
はいよいよ急がしくなる。天狗岩です。ほら、枕石だ、
後阿弥陀
(
うしろあみだ
)
岩だ、砲台岩岩岩岩。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
葉子は岡を二階に案内して、そこのガラス戸越しにあちこちの雪景色を誇りがに
指呼
(
しこ
)
して見せた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
加津佐
(
かづさ
)
あたりと
思
(
おぼ
)
しい煙も、見えます……
瞳
(
め
)
を転ずると、
小浜
(
おばま
)
の港が、
指呼
(
しこ
)
のうちに入ります。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
唇赤き少年か、鼠いろの
明石
(
あかし
)
着たる四十のマダムか、レモン石鹸にて全身の油を洗い流して清浄の、やわらかき乙女か、誰と
指呼
(
しこ
)
できぬながらも、やさしきもの、同行二人
二十世紀旗手
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
名刹
(
めいさつ
)
方丈山実相寺が
指呼
(
しこ
)
の間にある。私たちは山門に入る前に二基の巨大な石彫大将軍に迎えられた。堂々たる彫刻である。この種のものでこんなにも立派な作を見たことがない。
全羅紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
舟尾
(
ふなお
)
の浜さては平潟に打ち寄せる浪がしらまで、
白砂青松
(
はくさせいしょう
)
ことごとく
指呼
(
しこ
)
のうち——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
昭和十五年、ヒットラーが欧洲を平定して巴里に入り、ドーバー海峡越しに英本土を
指呼
(
しこ
)
の
間
(
かん
)
に
睨
(
にら
)
んでいたあの最得意の時期において、既に
伯林
(
ベルリン
)
の悲運の
萌
(
きざ
)
しが見えていたのである。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
この峠に立ったなら、白峰は
指呼
(
しこ
)
の間に見えよう、信州
徳本
(
とくごう
)
峠から穂高山を見るように、
目睫
(
もくしょう
)
の間にその鮮かな姿に接することが出来ないまでも、
日野春
(
ひのはる
)
から駒ヶ岳に対するほどの眺めはあろう。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
まちがいなく火星は、
指呼
(
しこ
)
の間に見えているのだった。
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とはいえまだ、いよいよ当面の敵とわかった秀吉が、ここから
指呼
(
しこ
)
のあいだ尼ヶ崎に来ていようなどとは思いも寄らないふうであった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
川の向うには
緩
(
ゆる
)
い丘の起伏がつづき、
吹田
(
すいた
)
や
味生
(
みしょう
)
の村々を
指呼
(
しこ
)
することが出来る。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
近々とその右舷に
指呼
(
しこ
)
し得る距離まで来て停った。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そしてもう
指呼
(
しこ
)
のうちに見える敵今川の四万の布陣と、その気勢を見るべく、しばらくの間、
旗幟
(
きし
)
をかくして、峰の一端から形勢を展望していた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
狐塚の地と、
指呼
(
しこ
)
のあいだに
対峙
(
たいじ
)
していた羽柴軍の第一陣地——堀秀政の東野山の兵も、今朝になって、ようやく、動くところあらんとしていた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに城将の赤松円心は、待ちに待っていた尊氏の東上軍がはや
指呼
(
しこ
)
のあいだに来つつあることを知ってもいる。——城兵の勇気は百倍していたのだ。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも、ここまで来ると、敵国長安の府も
潼関
(
どうかん
)
も、また都
洛陽
(
らくよう
)
も、一
鞭
(
べん
)
すでに
指呼
(
しこ
)
のうちだ。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先君御落命の報らせをうけて以来、高松から当地にいたるまで、お許らも見て来た通り、筑前は
精進潔斎
(
しょうじんけっさい
)
を守って来たが、ここ尼ヶ崎の地は、すでに敵の明智軍とも
指呼
(
しこ
)
の間近にある。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漢中の府は、すでに
指呼
(
しこ
)
のあいだにある。張魯は、事態の重大に、震えあがって
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまや成都は
指呼
(
しこ
)
のあいだにある。
綿竹関
(
めんちくかん
)
の一線を境として。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“指呼”の意味
《名詞》
指呼(しこ)
指を指して呼ぶこと。
(指して呼べばすぐ来るような)近い距離。
(出典:Wiktionary)
指
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
呼
常用漢字
小6
部首:⼝
8画
“指”で始まる語句
指
指環
指図
指揮
指輪
指頭
指貫
指示
指金
指物師