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折節
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をりふし
重四郎は
是幸ひと娘の
部屋を
覗き見れば
折節お浪は
只獨り
裁縫をなし居たるにぞ
頓て
件んの
文を取出しお浪の
袖へ
密と
入何喰ぬ
顏を
されど唯一目散に
脱れんとのみにて、
卒に志す
方もあらぬに、
生憎降頻る雨をば、
辛くも人の軒などに
凌ぎつつ、足に任せて行くほどに、近頃思立ちて
折節通へる碁会所の前に出でければ
折節は
何をがな
御慰に
遊ばされむこと
願はしく
候
又
折節は
喘ぐ
聲。口に
出づるを
皺めテも左樣の毒藥にて候かと恐れし色をぞ
示したり
折節下より午飯の
案内に半兵衞は
暫し頼みまする
緩々見物せられよと寶澤を
見るに
折節土藏の
普請にて
足代の掛り居たれば
是僥倖と其足代より
登りしが
流石我ながらに
怖ろしく
戰々慄々を