ふる)” の例文
新字:
爾時そのとき我血は氷の如く冷えて、五體ふるひをのゝき、夢ともうつゝとも分かぬに、屍の指はしかと我手を握り屍の唇はしづかに開きつ。
言上ごんじやうなせば其方どもゝ入牢申付るぞと仰されければ兩人は少しふるへながら女の死體は何事も御座りませんが片々の二のうでに小さく源次郎命と彫付ほりつけてありまた片々には影物かげものに灸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私は大急ぎで上衣うはぎとショールを引つかけて、横木をはづし、ふるへる手でドアを開けた。と、すぐ外側の廊下の敷物の上に一本の火のともつた蝋燭が置いてある。この光景に私は驚いた。
「ぢや許して下さるんですね。」私の語尾は思はずふるへた。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
せよと云に曲者は半四郎の心中しんちうはかられざれば有難しと口には云て食事をすれどもかうのどへは通らずふるうちに半四郎も食事を仕舞しまひたゝきて女をよび昨夕ゆふべからの旅籠はたごさけさかな代共だいとも勘定を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
申と直樣すぐさましばるぞと有けるにぞ元來ぐわんらい臆病者おくびやうもののことゆゑ林藏はがた/\ふるの根もあはず居たりしかば家主嘉右衞門はそばより是々林藏確乎しかとした御答おこたへを申上よ大事だいじな儀ぢやぞと申に林藏なにいたしましてうそ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)