)” の例文
旧字:
くむべきは吾一ではなくて少年を手伝つた人々である。彼等は彼等の謬見のために二人の将来ある人を葬り去つたことになるのだ。
一寸ちょっと入りくそうなホテルがずずと並んでいて、中から出て来た自動車に、雪のとばっちりをしたたか浴せられたのもいまいましい。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
「ハア」夫人はいいく相に、「先程もあなたのいらしったことを申したのですけど、今日は失礼させて頂くと申しているのでございます」
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
どうか御取り下さいって車夫が云ったら——くいじゃあありませんか、俺はジャムは毎日めるがビールのようなにがい者は飲んだ事がないって
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何という事もなく、夫に大きな負担をおわせてしまったような気がして、済まないと思うと、いい出しくかった。それでも黙ってもいられないで
果樹 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
茲に於て倫理的帝国主義者は無垢なる少女を姦せんとする悪漢の口吻に習らひ、可愛さ余つてくさが百倍なりとし、兵力に訴へてまでも我意を達せんとするか。
少しは貯金もあるし、決して生活費をどうこういうつもりはないので、ただ、このままでは父の知れない子を産むことになるからと、これはいかにも言いくそうにした。
和紙 (新字新仮名) / 東野辺薫(著)
われ之をくむ。内界の紛擾せる時に、われは寧ろ外界の諸識別をとほざけて、暗黒と寂寞とを迎ふるの念あり。内界に鑿入さくにふする事深くして、外界の地層を没却するは自然なり。
松島に於て芭蕉翁を読む (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
しかしその安らかさも、思ひのほか急に尽きる時が来た。やつと春の返つた或夜、男は姫君と二人になると、「そなたに会ふのも今宵こよひぎりぢや」と、云ひくさうに口を切つた。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
前に取っているものですから、期限が来るまで鳥渡ちょっと云い出しくかったのです
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
「それが……」と本條鹿十郎は、云いくそうに云うのであった。
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
とお秀は云いくそうに言った。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
くて手折たをろか
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼女は他人から受ける憤りやくしみと云ふものに耐へる力がまるでないのです。彼女は自分でよくそれを知つてゐました。
背負ひ切れぬ重荷 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
くいと云う念を通り過すと張り合が抜けてぼーとする。ぼーとしたあとは勝手にしろ、どうせ気のいた事は出来ないのだからと軽蔑けいべつきょくねむたくなる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「イヤ、それには理由があるのです。その理由をお話すれば、自然甲田君の殺人未遂の動機も明かになる訳ですが」と弘一君は少し云いく相に話し始める。
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この時に至りて我は既に政界の醜状をくむの念漸く専らにして、利剣をつて義友と事を共にするの志よりも、静かに白雲をふて千峰万峰をづるの談興にふけるの思望おほいなりければ
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
私のさういつた態度は始終、もう四年を最高級として、もう一人前の女として取り扱はうとしてゐる女の先生からは、つゝしみのないおてんばな娘としてくまれてゐました。
しかし自分で自分の鼻の高さが分らないと同じように、自己の何物かはなかなか見当けんとうがつきくいと見えて、平生から軽蔑けいべつしている猫に向ってさえかような質問をかけるのであろう。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三谷は送話口を手で押えて、振返ったが、ひどくいいく相に躊躇している。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それで学校にも先生の処にも行きません、でもくんではゐません。私は先生は矢張り好きなのです。嫌ひにはなれません。私が学校にゐた時分の何にも知らないでゐた頃の先生は好きでした。
S先生に (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
決してくむべきものではないと私は考へるのであります。
ある女の裁判 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)