恐多おそれおほ)” の例文
初め旧幕に阿諛あゆし、恐多おそれおほくも廃帝之説を唱へ、万古一統の天日嗣あまつひつぎあやううせんとす。かつ憂国之正士を構陥讒戮こうかんざんりくし、此頃外夷ぐわいいに内通し、耶蘇やそ教を皇国に蔓布まんぷすることを約す。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
なんとも恐多おそれおほことではござりますが、御新姐樣ごしんぞさまひとつおねがひがあつて罷出まかりいでましてござります、へい。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
流し斯るいやししづ腰折こしをれも和歌のとくとて恐多おそれおほくも關白殿下くわんぱくでんかへ聽えしも有難さ云ん方なきに況てや十ぜんじようの君より御宸筆しんぴつとはと云つゝ前へがツくり平伏へいふく致すと思ひしに早晩いつしか死果しにはてたりしとぞ依て遺骸なきがら洛外らくぐわい壬生みぶ法輪寺ほふりんじはうむり今におかち女のはか同寺どうじにありて此和歌わかのこりけるとかや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんとも恐多おそれおほことではござりますが、御新造樣ごしんぞさまひとつおねがひがあつて罷出まかりでましてござります、へい。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何時いつにか、からだはちやんといてあつた、おはなまをすも恐多おそれおほいか、はゝはゝはゝ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いや、贅澤ぜいたくふまい、景色けしきたいしては恐多おそれおほいぞ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)