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恐多
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おそれおほ
初め旧幕に
阿諛し、
恐多くも廃帝之説を唱へ、万古一統の
天日嗣を
危うせんとす。
且憂国之正士を
構陥讒戮し、此頃
外夷に内通し、
耶蘇教を皇国に
蔓布することを約す。
何とも
恐多い
事ではござりますが、
御新姐樣に
一つお
願があつて
罷出ましてござります、へい。
流し斯る
卑き
賤の
女が
腰折も和歌の
徳とて
恐多くも
關白殿下へ聽えしも有難さ云ん方なきに況てや十
善萬
乘の君より御
宸筆とはと云つゝ前へがツくり
平伏致すと思ひしに
早晩死果居たりしとぞ依て
遺骸は
洛外壬生の
法輪寺に
葬り今におかち女の
墳同寺にありて此
和歌殘けるとかや
何とも
恐多い
事ではござりますが、
御新造樣に
一つお
願があつて
罷出ましてござります、へい。
何時の
間にか、
体はちやんと
拭いてあつた、お
話し
申すも
恐多いか、はゝはゝはゝ。
いや、
贅澤は
云ふまい、
此の
景色に
對しては
恐多いぞ。