急病きゅうびょう)” の例文
「いや、むほどのことでもなかろうが、なんわかおんな急病きゅうびょうでの。ちっとばかり、あさから世間せけんくらくなったようながするのさ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
このようなさわがしさのなかで、緒方洪庵先生おがたこうあんせんせいが、急病きゅうびょうでなくなりました。それは、文久ぶんきゅう三(一八六三)ねんがつ十日とおかのことでした。
そのとき、往来おうらいで、おじいさんが急病きゅうびょうにかかってくるしんでいた。とおりかかった人々ひとびとが、そのまわりにあつまって、わいわいといっていました。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とりのこされた一学いちがくは、なにか、急病きゅうびょう不快ふかいでも起したのかと思っていたが、それから、待てどくらせど、神主の返辞へんじもなければ神官しんかんたちの応接おうせつもない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
床屋とこや伝吉でんきちが、笠森かさもり境内けいだいいたその時分じぶん春信はるのぶ住居すまいで、菊之丞きくのじょう急病きゅうびょういたおせんは無我夢中むがむちゅうでおのがいえ敷居しきいまたいでいた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「すこし、遠方えんぽうだが、これだけのかねでいってくださらんか。まごが、急病きゅうびょうだとらしてきたのだが……。」と、たのみました。
日月ボール (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほかのことならともかく、太夫たゆう急病きゅうびょうだッてのを、そのままにしといたんじゃ、世間せけん奴等やつらになんていわれるとおもうんだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
急病きゅうびょうかな。」と、その巡査おまわりさんは、すぐにがって、交番こうばんからました。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)