おもは)” の例文
山水もはた昔時に異なりて、豪族の擅横せんわうをつらにくしともおもはずうなじを垂るゝは、流石さすがに名山大川の威霊もなかば死せしやとおぼえて面白からず。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
しき夫人おくがたむかへたまひぬともあいらしきちごうまたまふとものつらさがおもはるゝぞとてほろ/\と打泣うちなけばお八重やへかなしく
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きたときは、せたそら次第しだい遠退とほのいてくかとおもはれるほどに、れてゐたが、それが眞蒼まつさをいろづくころからきふくもて、くらなか粉雪こゆきでもかもしてゐるやうに、密封みつぷうした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)