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徹宵
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よつぴて
土が
徹宵さういふ
作用を
營んだばかりに、
日は
拂曉の
空から
横にさうして
斜に
其の
霜を
解かして、
西風は
直にそれを
乾かして
残酷に
表土の
埃を
空中に
吹き
捲くる。
「
雞納豆くつたつて
死なねえ
内に
水飮ませりや
何ともねんだもの、
水飮ませりやそんなに
騷ぐにやあたらねえ」
卯平はいつて
自分でも
又飮ませた。
與吉の
枕元に三
人は
徹宵眠らなかつた。
手足を
伸せば
括りつけた
萱や
篠の
葉に
觸れてかさ/\と
鳴る
程狹い
室内を、
寒さは
束ねた
松葉の
先でつゝくやうに
徹宵其隙間を
狙つて
止まなかつた。
勘次は
目が
冴えて
畢つた。
彼は
北に
枕して
居た。