御身分おみぶん)” の例文
それにあなたももとちがつて、いまのやうな御身分おみぶんでせう、所詮しよせんかなはないとあきらめても、あきらめられないもんですから、あなたわらつちやいやですよ。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其時そのときはじめてたとかつて人橋ひとばしかけてやい/\ともらひたがる、御身分おみぶんがらにも釣合つりあひませぬし、此方こちらはまだつからの子供こどもなに稽古事けいこごと仕込しこんではおきませず
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
相勤あひつとむる身分なればわきまへ居候へども只々天下の御爲國家の大事と存じいさゝか忠義と心得候へば何卒なにとぞまげ御身分おみぶん調しらべの事一おう越前へ御許し下されたしとおして願ひ申されける此時松平左近將監殿仰せらるには是越前其方は重役共の吟味を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それにあなたももとと違って、今のような御身分おみぶんでしょう、所詮しょせんかなわないとあきらめても、断められないもんですから、あなた笑っちゃ厭ですよ。
木精(三尺角拾遺) (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
廻るは即ち此寶劔の事なり尤も大切の寶物はうもつゆゑ闇の夜ならでは持歩行もちあるく事ならず依て月の晦日は闇なれば假令たとへひるにても燈火照して御遷座あるは此譯なり斯く如く宮樣の御身分おみぶんは今にも天子に成せ給ふやまた御一生御門主にて在せらるゝや定めなき御身の上なればお乘物のりものの中を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「いかがでございましょう、ちょいとお目に、」と御身分おみぶん柄、お家柄、総じては日本の国風を心得ないことを言うのである。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
暫時ざんじなりとも取外とりはずす儀はかなひ難し其故は聖護院宮樣みやさま御配下ごはいか天一坊樣御身分は當將軍吉宗公よしむねこうの未だ紀州公御部屋住おへやずみの時分女中に御儲おんまうけの若君にて此度このたび江戸表へ御下向ごげかうあり御親子ごしんし御對顏ごたいがんの上は大方おほかたは西の丸へなほらせらるべし左樣にかるからぬ御身分おみぶんにて徳川は御苗字ごめうじなりまたあふひ御定紋ごぢやうもんなり其方たちが少しもあんじるには
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)