当家こちら)” の例文
旧字:當家
田鼠化為鶉、親仁、すなわち意気となる。はッはッはッ。いや。当家こちらのお母堂様ふくろさまも御存じじゃった、親仁こういう事が大好きじゃ、ひら一番ひとつらせてくれ。
錦染滝白糸:――其一幕―― (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実に伯父さまは一通りならざる智者ちしゃだから、わたくしは本当に怖いよ、私も放蕩ほうとうを働き、大塚おおつかの親類へ預けられていたのを、当家こちらの伯父さんのおかげうちへ帰れるように成った
当家こちらのお弟子さんが危篤ゆえしらせるといわれ、妻女はさてはそれゆえ姿をあらわしたかと一層いっそう不便ふびんに思い、その使つかいともに病院へ車をとばしたがう間にあわず、彼は死んで横倒よこたわっていたのである
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
「ええ念のため申し上げます。当家こちらは生薬の近江屋でござい——。」
此方こちらは遅れて渋川まで私の車で往って、渋川で車を一挺雇って貴方が乗って追っかけりゃアじきで、一日でかれます、届けものがあれば当家こちらへ言付けて置けばかてうちで屹度届けます
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ふ所にお心をけて蓄音器ちくおんきからういふ発明はつめいをなさるとふは、当家こちら御主人ごしゆじんそれだけの学問がくもんもなければならず、お智恵ちゑもなければけんことぢやが、うも結構けつこう御商法ごしやうはふですな
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
あなたわたくし当家こちらへ参りまする時に何と御意遊ばしました、お前は伊之さんのようなあんない立派な亭主を持って誠に仕合せだ、伊之さんは男もし、才気の有る人ゆえ、それだけの働きが有るから