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引懸
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ひっか
ふりがな文庫
“
引懸
(
ひっか
)” の例文
「ええと、今何でさ、合せてなんて、余計なことを言いなすった時、
拇
(
おやゆび
)
で
引懸
(
ひっか
)
けて、上が下りて一ツ飛んで入りましたっけ。はてな、」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「これを見て下さい。兄さんが気を失った室の
硝子
(
ガラス
)
窓のところで発見したのですよ。硝子の
壊
(
こわ
)
れた
縁
(
ふち
)
に
引懸
(
ひっか
)
かっていたのですよ。ほらほら……」
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
峠路
(
とうげみち
)
の
辻
(
つじ
)
や入口にある大木の高い枝に、鉤になった小枝を下から投げあげて
引懸
(
ひっか
)
かるかどうかを試みる
占
(
うらな
)
いがあって、時々は無数にその小枝の
懸
(
かか
)
っている
樹
(
き
)
を見かけるが
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そんな男に
引懸
(
ひっか
)
かるというのは一体どういう
量見
(
りょうけん
)
なのでしょう。………
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
歩むたびに、ヒョコンヒョコンと、なにかに
引懸
(
ひっか
)
かるような足つきが、まるで
人造人間
(
じんぞうにんげん
)
の歩いているところと変らない。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
路傍の
車前
(
おおばこ
)
の
茎
(
くき
)
を
折曲
(
おりま
)
げて
引懸
(
ひっか
)
け
引張
(
ひっぱ
)
り、または
菫
(
すみれ
)
の花の馬の首のようになった部分を
交叉
(
こうさ
)
して、むしろその首のたやすくもげて落ちるのを、笑い興ずるようになっているが
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
御帰
(
おかえり
)
ッ。」と書生が通ずれば、
供待
(
ともまち
)
の車夫、
踞
(
つくぼ
)
うて直す駒下駄を、爪先に
引懸
(
ひっか
)
けつ、ぞろりと
褄
(
つま
)
を上げて車に乗るを、物蔭より
婢
(
おはした
)
が
覗
(
のぞ
)
きて、「いつ見ても水が垂るようだ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄紅色
(
うすべにいろ
)
の
透取
(
すきとお
)
る
硝子杯
(
コップ
)
の小さいのを取って前に引いたが、いま一人哲学者と肩を
竝
(
なら
)
べて、手織の綿入に
小倉
(
こくら
)
の
袴
(
はかま
)
、
紬
(
つむぎ
)
の羽織を脱いだのを、
紐
(
ひも
)
長く椅子の
背後
(
うしろ
)
に、裏を
翻
(
かえ
)
して
引懸
(
ひっか
)
けて
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中を割って
引懸
(
ひっか
)
けにぐいと結んだ帯の
背後
(
うしろ
)
へ、軍鶏を
庇
(
かば
)
ったのはお夏である。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白い
脚絆
(
きゃはん
)
、素足に
草鞋穿
(
わらじばき
)
の
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
った、中形の浴衣に
繻子
(
しゅす
)
の帯の
幅狭
(
はばぜま
)
なのを、
引懸
(
ひっか
)
けに結んで、結んだ上へ、桃色の
帯揚
(
おびあげ
)
をして、胸高に乳の下へしっかと
〆
(
し
)
めた、これへ女扇をぐいと差して
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
睦
(
むつま
)
じやかなる
談話
(
はなし
)
の花を、心無くも吹散らす、疾風一陣障子を開けて、お丹例のごとく帯もしめず、今起き出でたる風情にて、乱れ姿に
広袖
(
どてら
)
を
引懸
(
ひっか
)
け、不作法に
入来
(
いりきた
)
りて、
御両方
(
おふたかた
)
の身近に寄り
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぞんざいに黒い裏を見せて
引
(
ひっ
)
くり返っているのを、白い指でちょいと直し、素足に
引懸
(
ひっか
)
け、がたり腰障子を左へ開けると、十時過ぎの
太陽
(
ひ
)
が、向うの井戸端の、柳の上から
斜
(
はす
)
っかけに、
遍
(
あまね
)
く
射込
(
さしこ
)
んで
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
懸
常用漢字
中学
部首:⼼
20画
“引懸”で始まる語句
引懸々々