やぶ)” の例文
あかつきやぶれた法衣ほうえを着て、長く伸びた髪を、眉の上で切っている。目にかぶさってうるさくなるまで打ちやっておいたものと見える。手には鉄鉢てっぱつを持っている。
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
子曰く、やぶれたる縕袍おんぼうて、狐貉こかくたるひとと立ちて恥じざるものは、それ由か。(子罕、二七)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
... 調ととのうる者を欲しいだろ、因ってこの若い嬢子むすめを汝の婢なり妾なりにして取って置け」と聞いて豹殺し腰抜かすばかりよろこびながら「父様見やんせ、余りに衣類がやぶれているので、とてもこんな結構な品を ...
みずからふるを着、やぶれたるをまと
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もなく這入はひつてたのは、一にんたかそうであつた。あかつきやぶれた法衣ほふえて、ながびたかみを、まゆうへつてゐる。かぶさつてうるさくなるまでつていたものとえる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)