トップ
>
帆前船
>
ほまえせん
ふりがな文庫
“
帆前船
(
ほまえせん
)” の例文
長椅子の横に、
粗石
(
あらいし
)
を積み上げた大きな
壁煖炉
(
シュミネ
)
があり、
飾棚
(
マントルピース
)
の上には、
日暦
(
カレンダー
)
や、目覚し時計や、
琥珀貝
(
こはくがい
)
でつくった
帆前船
(
ほまえせん
)
などがのっている。
キャラコさん:09 雁来紅の家
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
只
(
ただ
)
港を出るとき
這入
(
はい
)
るときに焚く
丈
(
だ
)
けで、沖に出れば丸で
帆前船
(
ほまえせん
)
、と云うのは石炭が積まれますまい、石炭がなければ帆で行かなければならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
西洋の船にならって造った二本マストもしくは一本マストの
帆前船
(
ほまえせん
)
から、従来あった
五大力
(
ごだいりき
)
の大船、種々な型の荷船、便船、
漁
(
いさ
)
り
船
(
ぶね
)
、小舟まで
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
全く
石川島
(
いしかわじま
)
の工場を
後
(
うしろ
)
にして幾艘となく帆柱を連ねて
碇泊
(
ていはく
)
するさまざまな日本風の荷船や西洋形の
帆前船
(
ほまえせん
)
を見ればおのずと特種の詩情が
催
(
もよお
)
される。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ただ胸ほどある
据
(
す
)
え風呂の中に恐る恐る立ったなり、白い
三角帆
(
さんかくほ
)
を張った
帆前船
(
ほまえせん
)
の処女航海をさせていたのである。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
町の
後
(
うしろ
)
になった丘の中腹には、海嘯のために持って往かれた発動機船や
帆前船
(
ほまえせん
)
が到る処にあった。
海嘯のあと
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
五
艘
(
そう
)
の
帆前船
(
ほまえせん
)
が岬へ集った。乗りこんだ生命知らずの土人は六十人。二百人みんなが「連れて行ってくれ。」とせがむのを断って、勇士の中の勇士をすぐった六十人だ。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
この船は三本マストの
帆前船
(
ほまえせん
)
にて、その
舷
(
ふなべり
)
は青く錆びたる銅をもって張られ、一見してよほど古き船と知らる、船長はアフリカ人にて、色は
赤銅
(
しゃくどう
)
のごとく、眼は怪星のごとく
南極の怪事
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
そやけど、傴僂さんとこには、
帆前船
(
ほまえせん
)
があるさかいにのんし。勝手にどこへでも舟を着けて、わしらの知らん内に、東京へ行ったかも知れんな。あんた方、諸戸屋敷の旦那を御存知かな
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何万トンという鋼鉄船があるわけでなく、木造船の手こぎの
帆前船
(
ほまえせん
)
であるから
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
メェフラワァは、約三百年前、信仰、生活の自由を
享
(
う
)
けん為に、欧洲からはる/″\大西洋を越えて、亜米利加の新大陸に渡った清教徒の
一群
(
いちぐん
)
ピルグリム、ファザァスが乗った小さな
帆前船
(
ほまえせん
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
この大きい樟の木の
梢
(
こずえ
)
。
尻
(
し
)
っ
尾
(
ぽ
)
の長い猿が一匹、或枝の上に
坐
(
すわ
)
ったまま、じっと遠い海を見守っている。海の上には
帆前船
(
ほまえせん
)
が一
艘
(
そう
)
。帆前船はこちらへ進んで来るらしい。
誘惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その真紅な帆の
帆前船
(
ほまえせん
)
が見えだしたのは、明治三十三四年
比
(
ごろ
)
、日本郵船会社の品川丸と云う古ぼけた千五百
噸
(
トン
)
位の帆前船がドド根の
辺
(
あたり
)
で沈没してから間もなくであった。
真紅な帆の帆前船
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
きのうは、ベカッスさんが
帆前船
(
ほまえせん
)
に乗り込むところまで行きました。きょうは、いよいよ船出しなくてはなりません。さまざまな手真似をまぜながら、あたしが読みだす。
キャラコさん:08 月光曲
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
窓を開いてじっと見ていると、三人連れは段々小さくなって遂に岩蔭に隠れてしまったが、待つ程もなく、舟着場の方から一
艘
(
そう
)
の
帆前船
(
ほまえせん
)
が、帆を卸したまま、私の眼界へ漕ぎ出して来た。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
進で行く中に、何も見えるものはないその中で
以
(
もっ
)
て、一度
帆前船
(
ほまえせん
)
に
遇
(
あ
)
うたことがあった。ソレは
亜米利加
(
アメリカ
)
の船で、支那人を乗せて行くのだと云うその船を一艘見た
切
(
ぎ
)
り、
外
(
ほか
)
には何も見ない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
影のように黒く立つ石川島の前側に、いつも幾艘となく碇泊している
帆前船
(
ほまえせん
)
の横腹は、赤々と日の光に
彩
(
いろど
)
られた。橋の下から
湧
(
わ
)
き昇る石炭の煙が、時々は先の見えぬほど、橋の上に立ち迷う。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それは、夏から秋の初めへかけてのことであるが、
真紅
(
まっか
)
な血のように染まった太陽が、荒れ狂っている波と波の間に落ちる時分になると、西の方から真紅な帆をあげた
帆前船
(
ほまえせん
)
が来るので
真紅な帆の帆前船
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「ウン、
帆前船
(
ほまえせん
)
だよ。メチャメチャにこわれている。マア、早く来てごらん」
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
白い
紗
(
しゃ
)
の窓掛けを蝶のようにひらひらさせ、花瓶のダリヤの花をひとゆすり、
帆前船
(
ほまえせん
)
の油絵の
額
(
がく
)
をちょっとガタつかせ、妖精が
戯
(
たわむ
)
れてでもいるように大はしゃぎで部屋の中をひと廻りすると
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
……あのね、……それは、ええと、……油絵の
帆前船
(
ほまえせん
)
なんですけど、絵かきが、ボートを
描
(
か
)
くことを忘れたもんだから、船が港へはいるたびに、船長さんは、
陸
(
おか
)
まで泳がなくてはならないというの。
キャラコさん:08 月光曲
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
帆
常用漢字
中学
部首:⼱
6画
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
船
常用漢字
小2
部首:⾈
11画
“帆前”で始まる語句
帆前
帆前垂
帆前掛