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こうしょう
ふりがな文庫
“
工廠
(
こうしょう
)” の例文
オリオン号は造船
工廠
(
こうしょう
)
の近くに停泊していた。そしてなお
艤装
(
ぎそう
)
したまま修繕されていた。船体は右舷では少しも損んでいなかった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そこでは吐き出された炭酸
瓦斯
(
ガス
)
が気圧を造り、塵埃を吹き込む東風とチブスと
工廠
(
こうしょう
)
の煙ばかりが自由であった。そこには植物がなかった。
街の底
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
雷神山の急昇りな坂を
上
(
あが
)
って、
一畝
(
ひとうね
)
り、町裏の路地の隅、およそ
礫川
(
こいしかわ
)
の
工廠
(
こうしょう
)
ぐらいは
空地
(
くうち
)
を取って、
周囲
(
ぐるり
)
はまだも広かろう。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一たいカワカミなんかに、英国海軍
工廠
(
こうしょう
)
が秘密に建造したディーゼル・エンジンの運転ができるはずがないではないか。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私共が故郷の金沢から始めて東京に出た頃は、水道橋から砲兵
工廠
(
こうしょう
)
辺はまだ淋しい所であった。焼鳥の屋台店などがあって、人力車夫が客待をしていた。
明治二十四、五年頃の東京文科大学選科
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
▼ もっと見る
それは長吉の
甥
(
おい
)
の音蔵であった。音蔵は砲兵
工廠
(
こうしょう
)
に勤めていて、病菌が入ったので脚を切断したものであった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
染屋、革はぎ、飾り師、
小札
(
こざね
)
鍛冶、弓師、
鎧師
(
よろいし
)
など、すべて武具の一大
工廠
(
こうしょう
)
ともいえる職人町の横丁だった。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一二度
店頭
(
みせさき
)
へ訪ねて来たことがあったが、お島はそれの始末をつけるために、砲兵
工廠
(
こうしょう
)
の方へ通っている或男を見つけて、二人を夫婦にしてやったのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
砲兵
工廠
(
こうしょう
)
の煙突から吐き出す毒々しい
煤煙
(
けむり
)
の影には遠く日本銀行かなんかの建物が
微
(
かす
)
かに眺められた。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
雨はやっと
歇
(
あが
)
ったようですが、空はまだ冷たい鉛のように重く見えたので、私は用心のため、
蛇
(
じゃ
)
の
目
(
め
)
を肩に
担
(
かつ
)
いで、
砲兵
(
ほうへい
)
工廠
(
こうしょう
)
の裏手の
土塀
(
どべい
)
について東へ坂を
下
(
お
)
りました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二人は砲兵
工廠
(
こうしょう
)
の赤煉瓦塀に添うて足の向くまま富坂を小石川の方へと上って行った。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
砲兵
工廠
(
こうしょう
)
の煙突の煙が、風向きに逆って流れたり、
撞
(
つ
)
く人もないニコライの寺の鐘が、真夜中に突然鳴り出したり、同じ番号の電車が二台、前後して日の暮の日本橋を通りすぎたり
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「なあに、あれはお前もよく知っている、
伊号
(
いごう
)
第五潜水艦なんだよ。ただ呉の海軍
工廠
(
こうしょう
)
で、すっかり造り変えたもんだから、形が違って見えるんだ。ね、以前は二十糎砲なんか、なかっただろう。」
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
それから三ヶ月の間かかって、岡部伍長がはじめて設計した地下戦車が、
工廠
(
こうしょう
)
の中で、実物に仕上がった。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
器用者の
侯健
(
こうけん
)
は、やき物の
窯場
(
かまば
)
も設けて、
陶器
(
すえもの
)
を焼きはじめ、武器の
工廠
(
こうしょう
)
では、
連環
(
れんかん
)
の
馬鎧
(
うまよろい
)
からカギ鎗、
葉鉄
(
うすがね
)
の
鎧
(
よろい
)
、またあらゆる兵具を、日夜さかんに作っていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主人は砲兵
工廠
(
こうしょう
)
の職工あがりだったが、芸者に出してあった娘に好い運がおとずれ、親たちもこの商売に取りつき、好況時代にめきめき羽を伸ばしたのだったが、ある大衆ものの大作家が
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
本国から随伴してきた
工廠
(
こうしょう
)
技師の厳密な試験によりまして、七個からなる忠魂塔の各区分には、いささかの罅も入っていない実に立派なものであるということを証拠だてることができました。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
工廠
(
こうしょう
)
の
鎚音
(
つちおと
)
は水泊に
冴
(
さ
)
え、不死身の鉄軍も壊滅し去ること
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
工廠
(
こうしょう
)
で作りあげられ、海をはしるようになってからまだ一箇月にもなりません。いままでの戦艦とはちがって、たいへんスピードが早く、これまでの戦艦とは全くちがった不思議な形をしていました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“工廠”の意味
《名詞》
工 廠(こうしょう)
(中国大陸などにあるもの)工場。
(明治期から戦前までの日本国内)兵器などを製造する工場。
(出典:Wiktionary)
“工廠”の解説
工廠(こうしょう)とは、軍隊直属の軍需工場のことで、武器・弾薬をはじめとする軍需品を開発・製造・修理・貯蔵・支給するための施設。造兵廠とも呼ばれる。
英語ではArsenalというが、これは兵器庫のことも指す。
(出典:Wikipedia)
工
常用漢字
小2
部首:⼯
3画
廠
漢検準1級
部首:⼴
15画
“工”で始まる語句
工合
工夫
工場
工面
工
工風
工匠
工事
工人
工作