山地さんち)” の例文
伊部熊蔵いのべくまぞうにひかれて、甲府こうふ城下じょうかを西へ西へとすすみ、龍王街道りゅうおうかいどうから釜無川かまなしがわけわたり、やがて、山地さんちにさしかかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういって、むらひとは、平地へいちといわず、山地さんちといわず、なしの栽培さいばいして、これを名産めいさんにしようとくわだてました。やがてこのむらは、なしの名産地めいさんちとなりました。
海岸かいがんからだん/\に山地さんちへかゝり高山こうざんのぼつていくにつれ、だん/\と温度おんどひくくなるのは、ちょうど緯度いどみなみからきたすゝむにしたがつてさむさがますのとおなじです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
木曾きそ山地さんちそだつた眼付めつき可愛かあいらしい動物どうぶつがその博勞ばくらうかれながら、諸國しよこくはたらきにるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
白金プラチナはねの散るさまに、ちら/\と映ると、かんざし滝壺たきつぼ真蒼まっさおな水に沈んで行く。……あはれ、呪はれたる仙禽せんきんよ。おんみは熱帯の鬱林うつりんに放たれずして、山地さんち碧潭へきたんたくされたのである。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
コバルト山地さんち氷霧ひようむのなかで
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「だが、こんなおくぶかい山地さんちに、だれのとりでがあるのであろうか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)