小藪こやぶ)” の例文
傾斜を調べ、坂を注意し、木の茂みや、麦畑や、小道などをよく観測し、また一々小藪こやぶまでも数えてるらしかった。
差置いた洋傘こうもりの柄につながった、消炭けしずみいた棒をながめて、虚気うつけに、きょとんとする処へ、坂の上なる小藪こやぶの前へ、きりきりと舞って出て、老人の姿を見ると
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
硝子戸ガラスどの店頭の一方に篠竹の小藪こやぶをあしらひ、こけ石燈籠いしどうろうのもとにはつくばひがあつて
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
小藪こやぶのそばを通るとき、さるとりいばらが緑色みどりいろのたくさんのかぎを出して、王子の着物きものをつかんで引きめようとしました。はなそうとしてもなかなかはなれませんでした。
しきりに波立つ胸の不平を葉巻のけぶりに吐きもて、武男は崖道がけみちを上り、明竹みんちく小藪こやぶを回り、常春藤ふゆつたの陰に立つ四阿あずまやを見て、しばし腰をおろせる時、横手のわき道に駒下駄こまげたの音して
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
そこは草や雑木ぞうきの生えた小藪こやぶになっていて、すぐ右手に箱根八里の街道へける間道ぬけみちがあって、それがだらだらとおりて土橋どばしを渡り、前岸ぜんがん山裾やますそを上流に向ってうねうねと通じていた。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
下草や小藪こやぶを踏み分ける音がもうすぐ後ろで聞こえる、僕の身体からだ冷水ひやみずを浴びたようになって、すくんで来る、それでわきの下からは汗がだらだら流れる、何のことはない一種の拷問サ。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
とある小藪こやぶ頬白ほほじろの遊ぶを眺む
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
笹藪ささやぶ小藪こやぶ小藪こやぶのなかで
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
王子はめんどうくさくなったのでつるぎをぬいていきなり小藪こやぶをばらんと切ってしまいました。
折り折り人の影がかなたの山の背こなたの山の尾に現われては隠れた、日はうららかに輝き、風はそよそよと吹き、かしこここの小藪こやぶが怪しげにざわついた。そのたびごとに僕は目を丸くした。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
チヨッポリ小藪こやぶやまかげ
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
たちまち小藪こやぶを分けてやッて来たのは猟師である。僕を見て
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
小藪こやぶぢやわんぐり蟾蜍ひきがへろ
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)