小舟をぶね)” の例文
此処の、「四極しはつ山うち越え見れば笠縫かさぬひの島榜ぎかくる棚無し小舟をぶね」(同・二七二)も佳作で、後年山部赤人に影響を与えたものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
かのごとくむごき海をあとにし、まされる水をはせわたらんとて、今わが才の小舟をぶね帆を揚ぐ 一—三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
陸軍中佐なる人の娘と相愛あひあいして、末の契も堅く、月下の小舟をぶねに比翼のかひあやつり、スプレイの流をゆびさして、この水のつひるる日はあらんとも、我が恋のほのほの消ゆる時あらせじ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『たななし小舟をぶねぎかへり』(同じ人にや恋ひやわたらん)いけないわね
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
しはつ山打越うちこえくれは笠縫かさぬひの島き帰る棚なし小舟をぶね 高市連黒人たかいちむらじくろと
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
海苔とるとたづきありけり朝びらき小舟をぶね揺りゆく棹手かなしも
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
金色こんじきはねあるわらは躑躅つつじくはへ小舟をぶねこぎくるうつくしき川
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
加茂川に小舟をぶねもちゐる五月雨さつきあめわれとつゞみをあやぶみましぬ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
言の葉小舟をぶねいつしかわれを載せて
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
つるや小舟をぶね船越ふなごし
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
武庫むこうら小舟をぶね粟島あはしま背向そがひつつともしき小舟をぶね 〔巻三・三五八〕 山部赤人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
あゝ聽かんとて小舟をぶねに乘りつゝ、歌ひて進むわが船のあとを追ひ來れる人等よ 一—三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
水垂の松のかげゆくあはれなり麗らなる日のべら釣り小舟をぶね
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小舟をぶねの身こそをかしけれ
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
小舟をぶねをば野尻に浮べ
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いづくにか船泊ふなはてすらむ安礼あれさきこぎきし棚無たなな小舟をぶね 〔巻一・五八〕 高市黒人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ああわが小舟をぶねよ、汝の積める荷はいかにあしきかな。 一二七—一二九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ひりへうと笛が鳴るから夏祭三神丸さんじんまる小舟をぶねさもらふ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かげくら大黒金おほくろがねかべのもと、小舟をぶねはなづむ。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
絹漉きぬごしの雨のうちあま小舟をぶねゆたにたゆたふ。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あはれわが小舟をぶねぞくだる。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かくてなほ小舟をぶねはくだる。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あま小舟をぶねのそれならで
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)