寿じゅ)” の例文
旧字:
媒妁夫婦は一同に礼して、寿じゅの字の風呂敷に包んだ引き物の鰹節籠かつぶしかごを二つ折詰おりづめを二つもらって、車で送られてお茶の水停車場に往った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
とうとうその一人の光明寺三郎夫人となったが、天は、その能ある才人に寿じゅをかさず、企図は総て空しいものとされてしまった。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
人間の世界には、時の長さを計る器械ができたそうじゃが、のちのち大きな誤解の種をくことじゃろう。大椿たいちん寿じゅも、朝菌ちょうきんようも、長さに変わりはないのじゃ。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
晩年、「新葉和歌集」を奏進しておられるので、弘和元年、七十一歳まで寿じゅをたもっておられたことだけはたしかだが、おかくれになった土地さえよく分っていない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生活の簡単な世の中では、長生ながいきをする事が一番の幸福でありますから、祝言には普通に長寿の事を云う。そこで我が国では長生ながいき、すなわち「寿じゅ」のことを「ことぶき」と云います。
魚は水あればすなわちき、水るればすなわち死す。ともしびあぶらあればすなわちめいあぶら尽くればすなわちめっす。人は真精しんせいなり、これをたもてばすなわち寿じゅ、これをそこなえばすなわちようす。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そうして王氏は喜びのあまり、張氏の孫を上座に招じて、家姫かきを出したり、音楽を奏したり、盛な饗宴きょうえんを催したあげく、千金を寿じゅにしたとかいうことです。私はほとんど雀躍じゃくやくしました。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
帝は宮中に在り、老仏ろうぶつを以て呼ばれたまい、寿じゅをもて終りたまいぬという。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
趙顔の名が出て寿じゅ十九歳と書いてあるのが見えた。
北斗と南斗星 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
君兪は名家に生れて、気位きぐらいも高く、かつ豪華で交際を好む人であったので、九如は大金をもたらして君兪のために寿じゅを為し、是非ともどうか名高い定鼎を拝見して、生平せいへいの渇望をしたいと申出もうしだした。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と彼の寿じゅと健康を祝した。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寿じゅ、わずか四十四。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寿じゅ五十四歳。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)