のたも)” の例文
地上に活き動く物は空飛ぶ鳥から土をう虫までも汝に支配され、樹や土に生ずる諸果ことごとく汝の所用たるべく、汝の命は三十歳とのたもうた。
帝は賀春の席で帷幕みな多くは老い、物の用に立つものが少ないとのたもうた。それがし、年七十にあまれど、なお十斤の肉をくらい、ひじに二石の弓を
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滞留のあまりに久しければ、さまざまの係累けいるいもやあらんと、相沢に問いしに、さることなしと聞きてちいたりとのたもう。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
たまたま大朝だいちょう鍋平朝臣なべひらあそん、一日、私にのたもうよう、あの亀はどうした、おしいもんや、一つそれを市民博物館へ寄附したらどうやとの事で、私も直に賛成した。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
天竺てんじく仏陀迦耶ぶっだがやなる菩提樹ぼだいじゅ下に於て、過去、現在、未来、三世さんぜの実相をあきらめられて、無上正等正覚むじょうしょうとうしょうがくらせられた大聖釈迦牟尼仏しゃかむにぶつ様が「因果応報」とのたもうたのはここの事じゃ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
猿ははたと地に平伏ひれふして、熟柿じゅくし臭き息をき、「こは何処いずくの犬殿にて渡らせ給ふぞ。やつがれはこのあたりいやしき山猿にて候。今のたもふ黒衣とは、僕が無二の友ならねば、元より僕が事にも候はず」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「アアモウ解ッた解ッた、何にものたもうナ。よろしいヨ、解ッたヨ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
諸農の仏事供養の時汝壇をきよめるの職にあれば供養の品々を受用してからずやとのたもうなどその事もっぱら家猪に係り、猪八戒は豕で野猪でないと証明する。
「よしや富貴ふうきになりたもう日はありとも、われをば見棄みすてたまわじ。わが病は母ののたもうごとくならずとも」
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
かくて御料の猟場かりばに着くと、許田きょでん二百余里(支那里)のあいだを、十万の勢子せこでかこみ、天子は、彫弓ちょうきゅう金鈚箭きんひせんを御手に、駒を野に立てられ、玄徳をかえりみてのたもうた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三番鳥にて立つなどと相図を極めて敵もその相図を知らざるの徳あり、これを三の重宝と立てしなりとのたもうと見え、吉田久左衛門陣中に鶏を飼いしを、時を知るべき心掛け奇特なりとて
すでに禁門を犯してなだれこんだ魏兵は、よろいを着、ほこを持って、南殿北廂ほくしょうにわに満ちみちていた。帝は、いそぎ朝臣をあつめて、御眦おんまなじりに血涙をにじませ、悲壮な玉音をふるわせて一同へのたもうた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「汝、漢朝の乱状に義をふるって、朕にあわれみを思え」と、のたもうた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「かいなきことをのたもうな。藩中に人なきものならいざ知らず——」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、のたもうた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)