孫悟空そんごくう)” の例文
そうして、勇敢にして天真爛漫てんしんらんまん聖天大聖せいてんたいせい孫悟空そんごくうや、怠惰たいだな楽天家、天蓬元帥てんぽうげんすい猪悟能ちょごのうとともに、新しい遍歴へんれきの途に上ることとなった。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
足とこしほねを二つ三つたたくと、孫悟空そんごくう急用きゅうようにでかけたように、燕作のからだは鳥居のまえから見ているうちに小さくなっていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ギリシャ神話にはねの生えた靴を穿いている神様があります。西遊記の孫悟空そんごくう觔斗雲きんとうんに乗って一瞬に千里を走るのです。速度の夢ですね。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ふところから白磨きの十手、たもとからはくり出す捕繩ほじやう。七つ道具をふりかざした八五郎は、孫悟空そんごくうのやうにをめき叫んで飛かゝるのです。
世界の隅隅すみずみに照明を与えて人人の眼光をくらましている日本の様が、孫悟空そんごくうのように電光石火の早業を雲間でしているに相違ないと思われた。
厨房日記 (新字新仮名) / 横光利一(著)
生一本きいっぽんの酒を飲むことの自由自在、孫悟空そんごくうが雲に乗り霧を起こすがごとき、通力つうりきを持っていたもう「富豪」「成功の人」「カーネーギー」「なんとかフェラー」
号外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
殊にそのなかの孫悟空そんごくうは、わたしが申歳さるどしの生まれである因縁から、取分けて寵愛ちょうあいしているわけです。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「右六名のうち、孔雀くじゃく扮装ふんそうは最も醜怪なり。馬肉をくらいたる孫悟空そんごくうごとし。われらしばしば忠告を試みたるも、更に反省の色なし。よろしく当道場より追放すべし。」
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
妖女ようじょ孫悟空そんごくうを主人公とした夢幻的で物凄じいウイヤド紙芝居が出来たなら、一度見たいものである。
簪を挿した蛇 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
孫悟空そんごくうのなんとか棒と同様にきわめて精巧な科学的内容をもっていたものと思われる。
ステッキ (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
与八を猪八戒ちょはっかいとして、米友を孫悟空そんごくうに見立てることは、やや巧者な見立て方であるけれど、与八は八戒よりも大きく、米友は悟空よりも小さいくらいの比較でなければなりません。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この洋杖こそ孫悟空そんごくう如意にょいの棒ではないが、学士自慢の七つの仕掛のある護身杖ごしんづえであった。いま流れだした光芒こうぼうは、その杖の先に仕掛けた懐中電灯の光であったことは云うまでもない。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
孫悟空そんごくうじゃござんせんが、早足はやあしの燕作、一番あとからかけつけましても、こういう筋斗雲きんとうんがございますから……へへへへことによると、あとからいって
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あんなにいうんだから、仲間にしてやってくださいよ。桃太郎だって犬、猿、雉子さじの家来が三人、辻講釈できくと、西遊記の三蔵法師にもけらいは三人、孫悟空そんごくう猪八戒ちょはっかい沙悟浄さごじょう
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
そして孫悟空そんごくうのいた時代がそう遠い昔とは感ぜられなかった。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
こいつアすてきだ、淡路島が足もとへ来ていやがる、孫悟空そんごくう様がきんとうんに乗って行っても、こう早くは淡路へ着くめえ。どれ、だんだん東へ歩こうか……見える見える天王寺が。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手には一しんの棒をかいこみ、斉天大聖せいてんたいせい孫悟空そんごくうが、雲をけるにさながらのていだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)