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娘共
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むすめども
或ひは
娘共が
仰向に
臥てゐる
時分に、
上から
無上に
壓迫けて、つい
忍耐する
癖を
附け、
難なく
強者にしてのくるも
彼奴の
業。
乃至は……
師走の
月は
世間一
躰物せわしき
中を、こと
更に
選らみて
綾羅をかざり、
一昨日出そろひしと
聞く
某の
芝居、
狂言も
折から
面白き
新物の、これを
見のがしてはと
娘共の
騷ぐに、
見物は十五日
マーキュ はて、
戀が
盲なら
的を
射中てることは
出來まい。
今頃はロミオめ、
枇杷の
木蔭に
蹲踞んで、あゝ、
予の
戀人が、あの
娘共が
内密で
笑ふ
此枇杷のやうならば、
何のかのと
念じて
居よう。