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四五人
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しごにん
すぐ
前の、
鉢ものの
草花屋、
綿屋、
續いて
下駄屋の
前から、
小兒が
四五人ばら/\と
寄つて
取卷いた
時、
袖へ
落すやうに
涼傘をはづして
お
職業はと
問へば、いえ
別段これといふ
物も
御座りませぬとて
至極曖昧の
答へなり、
御人數はと
聞かれて、
其何だか
四五人の
事も
御座りますし、
七八人にもなりますし
此の
春着で、
元日あたり、
大して
醉ひもしないのだけれど、
目つきと
足もとだけは、ふら/\と
四五人揃つて、
神樂坂の
通りをはしやいで
歩行く。
打ちつゞく
惡鬼ばらひ、
屋を
壓する
黒雲をぬぐつて、
景氣なほしに「
明月」も、しかし
沙汰過ぎるから、せめて「
良夜」とでも
題して、
小篇を、と
思ふうちに……
四五人のお
客があつた。