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名状
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めいじょう
ふりがな文庫
“
名状
(
めいじょう
)” の例文
かたい、冷い薄縁の上に、くずおれて、じっとしていると、ひしひしと迫る夜気、地底の穴蔵の、墓場の様な、
名状
(
めいじょう
)
し
難
(
がた
)
き静けさ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だから、租界中が、この柱時計のことだけでも、どんなに
名状
(
めいじょう
)
すべからざる混乱に
陥
(
おちい
)
ったかは、読者が容易に想像し得らるるところにちがいない。
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
常子はこの馬の脚に
名状
(
めいじょう
)
の出来ぬ
嫌悪
(
けんお
)
を感じた。しかし今を
逸
(
いっ
)
したが最後、二度と夫に会われぬことを感じた。夫はやはり悲しそうに彼女の顔を眺めている。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何とも
名状
(
めいじょう
)
しがたい、一種の鳥の
啼声
(
なきごえ
)
のような叫び声を出して、その場に
尻餅
(
しりもち
)
をついて倒れてしまった。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
アンドレイ、エヒミチが
新
(
あらた
)
に
院長
(
いんちょう
)
としてこの
町
(
まち
)
に
来
(
き
)
た
時
(
とき
)
は、この
病院
(
びょういん
)
の
乱脈
(
らんみゃく
)
は
名状
(
めいじょう
)
すべからざるもので。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
江戸堀
(
えどぼり
)
公判廷に至るの間はあたかも人をもて
塀
(
へい
)
を築きたらんが如く、その
雑沓
(
ざっとう
)
名状
(
めいじょう
)
すべくもあらず。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
こそばゆいような、
名状
(
めいじょう
)
のできない感じであった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
乱暴狼籍
(
らんぼうろうぜき
)
名状
(
めいじょう
)
すべからず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
その
名状
(
めいじょう
)
すべからざる一種の感じに対しては、恐怖とか戦慄とかいう言葉は、余りにありふれた、平凡至極なものに思われた程でありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして
勢
(
いきお
)
い
凄
(
すざま
)
じく、井戸の中に落ちていった。夫への最後の贈物だ。——ちょっと間を置いて、何とも
名状
(
めいじょう
)
できないような
叫喚
(
きょうかん
)
が、地の底から響いてきた。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一二秒間を置いて、「ク、ク、ク……」と、歯ぎしりをする様な、或は泣きじゃくりをしている様な、一種
名状
(
めいじょう
)
し難い、低い物音が聞えて来た。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は、
名状
(
めいじょう
)
すべからざる
困惑
(
こんわく
)
を感じた。しかし
遂
(
つい
)
に、彼は女の躯から手を放そうとはしなかった。自分の胸の中で、
嗚咽
(
おえつ
)
するその女が、ただもういじらしくて仕方がなかったし、それに
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは一種
名状
(
めいじょう
)
し
難
(
がた
)
い、浪花節語りの様な
嗄声
(
しわがれごえ
)
であった。そいつが、どこにいるのかは、ちょっと見当がつかなかった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その奥には一体全体どんな設備があるのか、
抑
(
そもそ
)
も何者が住んでいるのか、愛之助は何かしら
名状
(
めいじょう
)
し難い魔気という様なものに襲われ、戦慄を禁じ得なかった。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
昨日までは愛すればこそ、一種の恐れをさえ抱いていたこの人と、今
駈落
(
かけおち
)
をしているのだと思うと、悲壮な様な、甘い様な、
名状
(
めいじょう
)
出来ない感じで胸が痛くなった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
名状
(
めいじょう
)
し
難
(
がた
)
き
淋
(
さみ
)
しさで、はては、涙ぐましくさえなって来るのを、どうすることも出来ませんでした。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
小説を知っている丈けで、まだ逢ったことのない、毒蜘蛛の様な、あの大江春泥が、私と同じ
恰好
(
かっこう
)
で、その天井裏を這い廻っていたのかと思うと、私は一種
名状
(
めいじょう
)
しがたい戦慄に襲われた。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
どこかしら、飛んでもない思い違いがある様な、
名状
(
めいじょう
)
し
難
(
がた
)
い不思議な気持だ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
倭文子は、突然、心の底からわき上って来る、
名状
(
めいじょう
)
し
難
(
がた
)
い恐怖にとらわれた。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
額全体が
余程
(
よほど
)
古いものらしく、背景の泥絵具は所々はげ
落
(
おち
)
ていたし、娘の緋鹿の子も、老人の天鵞絨も、見る影もなく色あせていたけれど、はげ落ち色あせたなりに、
名状
(
めいじょう
)
し
難
(
がた
)
き毒々しさを保ち
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
十九歳の美子姫は、侯爵の
一粒種
(
ひとつぶだね
)
、婦人雑誌、写真画報などで、姫の容姿に接したものは、その
名状
(
めいじょう
)
し
難
(
がた
)
きあどけなさ、不思議な魅力をたたえた、夢見る如きまなざしに、うっとりせぬ者はなかった。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
人間らしくないところに、
名状
(
めいじょう
)
しがたい強烈な魅力があった。
悪霊物語
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“名状”の意味
《名詞》
有り様を言葉で表現すること。
《動詞》
有り様を言葉で表現する。
(出典:Wiktionary)
名
常用漢字
小1
部首:⼝
6画
状
常用漢字
小5
部首:⽝
7画
“名”で始まる語句
名
名残
名代
名告
名前
名誉
名人
名聞
名高
名題