同胞どうほう)” の例文
「とにかくこんなにたくさんのわれわれの同胞どうほうが、海底の下わずか百メートルのところに住居をもっているんだ。分ってくれたろうね」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わが同胞どうほうはだいたいにおいて貧乏びんぼうであるから、富貴ふうき誘惑ゆうわくなるものを知らない。貧乏人びんぼうにんが金持を批評することは、とかく見当が違うことが多い。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
このおそろしい病は世界のいずこの国にも流行してときには一ヵ年に何百万という同胞どうほうを失った国もありました。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
世に所謂いわゆる大義名分たいぎめいぶんより論ずるときは、日本国人はすべて帝室ていしつの臣民にして、その同胞どうほう臣民の間に敵も味方もあるべからずといえども、事の実際は決してしからず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
万里ばんり異域いいき同胞どうほうの白骨を見ようとは、富士男にとってあまりに奇異きいであり感慨かんがい深きことがらであった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
世界ぜんたいから見ると人類同胞どうほう貢献こうけんするものが一番えらい。いいかね? わかったかね?
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
けれど人間にんげんであるうえは、同胞どうほうがこんな姿すがたとなったのをて、なんともこころかんじないはずがあろうかとかんがえると、むらむらと義憤ぎふんえるのをどうすることもできませんでした。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
昨日きのふはからずも天外てんぐわい萬里ばんりわが同胞どうほうにめぐりひ、あだかてんのなせるがごと奇縁きえんにていま優美やさし春枝夫人はるえふじん可憐かれんなる日出雄少年等ひでをせうねんらおなふねおな故國ふるさとかへるとはなにたる幸福しあはせであらう。
そこで今まで述べたシカゴの大会とボストンの公園の集会を見て、我が同胞どうほうとともにかえりみたいことは、一時の激昂げきこうられて事をなすを慎むべき一点である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
昨夜のあなたのお知恵ちえ決断力けつだんりょくとに感心して、ぜひ、植民地へいって、かの地の同胞どうほうたちを助けてやっていただきたいと思い、おうかがいしたのでございます。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
なぜといって、何十年ぶりかで市民たちが地上へ頭を出したとたん、待っていましたとばかり、敵白人帝国の空中兵団は、われわれ同胞どうほうの上へ襲いかかったのである。
早い話が僕の家は両隣りが会社員だ。片一方はビールを醸造じょうぞうして同胞どうほう酩酊めいていさせるけれど、もう一方は飲み過ぎて脳溢血のういっけつを起しても損の行かないように、生命保険を引受けてくれる。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
土地がせまくなったところへ、海外から大ぜいの同胞どうほうがもどって来たので、たいへん暮しにくくなり、来る年も来る年も苦しんだことを思い出した。中でも一番苦しかったのは食糧だった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「人類は皆同胞どうほう兄弟です。あなたはアダムとエバのお話を御存知ですか?」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
このときも我が同胞どうほうであったならば、すぐに野次馬やじうまが乗り込んで来て
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
土地がせまくなったところへ、海外から大ぜいの同胞どうほうがもどって来たので、たいへん暮しにくくなり、来る年も来る年も苦しんだことを思い出した。中でも一番苦しかったのは、食糧だった。
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ここで、彼女は、同胞どうほうのあたたかい同情につつまれて、涙をもよおした。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)