厄介やつかい)” の例文
「人に見られ度くない物を持つて居る女などは、斯うした隱れた物入れのある紙入を持つて居たのだらう。おや、こいつは、何んか、厄介やつかいなことらしいよ」
あきなひ其餘力よりよくを以て母をやしなひ居候に付私し如何にも不便ふびんに存じ親子共引取べき旨種々しゆ/″\申聞候へ共今更厄介やつかいに相成候は不本意ふほんいなりとて聞入申さず五ヶ年の長病ちやうびやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
当人たうにんまゐる気になりましたが、横浜よこはままゐるには手曳てひきがないからと自分の弟の松之助まつのすけといふ者をれまして横浜よこはまへまゐりまして、野毛のげうち厄介やつかいになつて
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それから貴女あなた神戸に腹更はらがはりの兄が一人御座いますので それに今では厄介やつかいになつて居るので御座います」
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
長らく私たちの厄介やつかいになつてはゐたくないでせう——いや、出來るだけ早く妹たちの同情や、就中
「私どももやはりうですよ。をぢさんにご厄介やつかいになつたんだからよく御礼をおつしやいよ。」
ザボンの実る木のもとに (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
借金かりが出来る、田地は段々にひとの物になる、旦那今ま此の山中やまで、自分の田を作つて居るものが幾人ありますかサ、——其上に厄介やつかいなものがありますよ、兵隊と云ふ恐ろしい厄介物が
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
おほきさは一寸いつすん二三分にさんぶちひさなせみぐらゐあつた、とふ。……しかしその綺麗きれいさは、うもおもふやうにいひあらはせないらしく、じれつたさうに、家内かない逆上のぼせてた。たゞあをつたのでは厄介やつかいだ。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
取返とりかへし候處九助妻と申者は九助の厄介やつかいになり居る伯父九郎兵衞の娘にて九助とは從弟續いとこつゞきに候と云ば文左衞門はハテサテ込入こみいりし儀ぢやなと言を藤八は又語を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だが、家庭生活には場違ひな陰鬱な、つめたい厄介やつかいな大柱になり勝ちの人なのだ。
「それは又、厄介やつかいなことだが」
お果しになつて、誰の厄介やつかいにもおなりにならない方です。明日
しばたゝきそれついては長々なが/\逗留とうりうあひだ種々いろ/\別段べつだんの御厄介やつかいになり何とも御氣の毒千萬と云ば亭主はよきはなしのしほと思ひ何時まで御逗留とうりうありしとて手前は夫が商賣しやうばいなれば少しも世話せわとは思ひませぬが御良人おつれあひは御大病なり其樣なことには
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)