トップ
>
半切
>
はんせつ
ふりがな文庫
“
半切
(
はんせつ
)” の例文
外史ばかりでなく、彼の詩、彼の書、みんな商品だ。水西荘の玄関には、
半切
(
はんせつ
)
幾価
(
いくら
)
、屏風いくらと、貼り出してあるという話じゃないか。
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昔し島田は
藤田東湖
(
ふじたとうこ
)
の偽筆に時代を着けるのだといって、
白髪蒼顔万死余云々
(
はくはつそうがんばんしのようんぬん
)
と書いた
半切
(
はんせつ
)
の
唐紙
(
とうし
)
を、台所の
竈
(
へっつい
)
の上に釣るしていた事があった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
漱石は
半切
(
はんせつ
)
に、「人静月同照」という五字を、一行に書いた。二、三枚書きつぶしてから、今度はうまく行ったと言って漱石が自ら満足する字ができた。
漱石の人物
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
東京の絵画商人の
某
(
なにがし
)
が、京都で展覧会を開くために、今尾景年氏の
許
(
とこ
)
へ、
半切
(
はんせつ
)
の
揮毫
(
きがう
)
を頼みに出掛けた。
高
(
たか
)
が半切だと聞いて、画家は会はうともしない。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
良助は立ち上がると、部屋の隅の
襖
(
ふすま
)
の引手を一つ外しました。中から引出したのは、
半切
(
はんせつ
)
に書いた遺書が一通。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
奥原晴湖
(
おくはらせいこ
)
の密画の懸けてあったこともあります。晴湖は明治の初めに東京に出て、
下谷
(
したや
)
に住んで、南画の名手として知られた女の画家でした。
佐藤応渠
(
さとうおうきょ
)
の
半切
(
はんせつ
)
もありました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
この
三味線
(
しやみせん
)
に合せて、小林君が
大津絵
(
おほつゑ
)
のかへ唄を歌つた。
何
(
なん
)
でも
文句
(
もんく
)
は
半切
(
はんせつ
)
に書いたのが内にしまつてあつて、それを見ながらでないと、理想的には歌へないのださうである。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼女の見事な筆跡で書いた
半切
(
はんせつ
)
や色紙短冊が飛ぶように地方へ売れた。天下は彼女のために魅了されたと云ってもよかった。世間の評判以上の隠れた評判を彼女は保有していた。
けむりを吐かぬ煙突
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
是れは末女の藤子が或年の春の書初めに、
半切
(
はんせつ
)
の白紙へ書いた字である。第も春も大人には不可能に思はれる勢ひで跳ねが出来て居た。作者はこの大胆さが嬉しかつたのである。
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
鶴見は
半切
(
はんせつ
)
や短冊をねだって書いてもらうのを好まなかったので、そんなものは一枚も持ってはいなかった。花袋はその夜どういうわけか、その短冊を黙って鶴見に手渡したのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
蔵書を始め一切の物を売却しようと云うことになって、
先
(
ま
)
ず手近な物から売れるだけ売ろうと云うので、
軸物
(
じくもの
)
のような物から売り始めて、目ぼしい物を申せば
頼山陽
(
らいさんよう
)
の
半切
(
はんせつ
)
の
掛物
(
かけもの
)
を
金
(
きん
)
二
分
(
ぶ
)
に売り
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
自分は金の
調達
(
ちょうだつ
)
を引き受けた。その時
彼
(
か
)
れは風呂敷包の中から一幅の
懸物
(
かけもの
)
を取り出して、これがせんだって御話をした
崋山
(
かざん
)
の
軸
(
じく
)
ですと云って、紙表装の
半切
(
はんせつ
)
ものを
展
(
の
)
べて見せた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
芋や南瓜を描いた無名畫家の
半切
(
はんせつ
)
に、有島武郎氏が讃をしたのを、以前、ぼくは人から貰つて持つてゐた。讃には「帝力われに何かあらん」とあつた。惜しいかな、火事で燒いてしまつた。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
ボロボロの
唐紙
(
とうし
)
半切
(
はんせつ
)
に見事な筆跡で、薄墨の走り書きがしてあった。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
差出したのは、
半切
(
はんせつ
)
をキリキリと畳んだ手紙、文面は
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その軸は特にここの
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
を飾るために自分が父から借りて来た小形の
半切
(
はんせつ
)
であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
差出したのは、
半切
(
はんせつ
)
をキリキリと疊んだ手紙、文面は
銭形平次捕物控:078 十手の道
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“半切”の意味
《名詞》
半 切(はんせつ)
半分に切ること。
唐紙や画仙紙などの全紙を縦に半分に切ったもの。
(出典:Wiktionary)
半
常用漢字
小2
部首:⼗
5画
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“半”で始まる語句
半
半分
半刻
半纏
半襟
半纒
半身
半年
半歳
半間