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凶事
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きょうじ
ふりがな文庫
“
凶事
(
きょうじ
)” の例文
そうかと云って、「
主
(
しゅう
)
」をそのままにして置けば、独り「家」が亡びるだけではない。「主」自身にも
凶事
(
きょうじ
)
が起りそうである。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
嘲笑
(
あざわら
)
うように、また
揶揄
(
やゆ
)
するごとく、くっきり浮き上っているのが、まことに
凶事
(
きょうじ
)
そのもののように、不気味に見える。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「こいつは、目安箱が、悪い方へたたったかな? ……」と考えて、とかく
凶事
(
きょうじ
)
にばかり想像される。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
克彦はそのときの巨大な赤い月を、あの
凶事
(
きょうじ
)
の
前兆
(
ぜんちょう
)
として、いつまでも忘れることができなかった。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
猫
(
ねこ
)
に
追
(
お
)
われた
鼠
(
ねずみ
)
のように、
慌
(
あわただ
)
しく
駆
(
か
)
け
込
(
こ
)
んで
来
(
き
)
たおせんの
声
(
こえ
)
に、
折
(
おり
)
から
夕餉
(
ゆうげ
)
の
支度
(
したく
)
を
急
(
いそ
)
いでいた
母
(
はは
)
のお
岸
(
きし
)
は、
何
(
なに
)
やら
胸
(
むね
)
に
凶事
(
きょうじ
)
を
浮
(
うか
)
べて、
勝手
(
かって
)
の
障子
(
しょうじ
)
をがらりと
明
(
あ
)
けた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
あなたは
凶事
(
きょうじ
)
を自分で
描
(
えが
)
いてはまねき寄せようとするように見える。凶事についてのあなたの異常な想像力にわしはまったく驚いてしまう。それがあなたの不幸の原因だ。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
名家の屋形にはけちがついたのである。姫の
怨念
(
おんねん
)
は八重垣落しの断崖のあたりをさまよっていて、屋形に
凶事
(
きょうじ
)
のある前には気味のわるい笑い声がしきりに聞え、
吉事
(
きつじ
)
にはさめざめと
哭
(
な
)
くけはいがする。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
取って、お捻りのうえに『御礼』と書いたやつがあるんだ。よろこびごとなら朱の紅筆で、きょうみてえな
凶事
(
きょうじ
)
にゃあ墨でナ——その包みを拾った者はお
前
(
めえ
)
……
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あははは、何かと思えば夢をごらんになって
劉皇叔
(
りゅうこうしゅく
)
のお身の上に、
凶事
(
きょうじ
)
があったものと思いこんでいらっしゃるのですか。どんな凶夢でも夢はどこまでも夢に過ぎません。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
空には
暈
(
かさ
)
のかかった月が、
無気味
(
ぶきみ
)
なくらいぼんやり
蒼
(
あお
)
ざめていた。森の木々もその空に、
暗枝
(
あんし
)
をさし
交
(
かわ
)
せて、ひっそり谷を封じたまま、何か
凶事
(
きょうじ
)
が起るのを待ち構えているようであった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
決定する材料の得られない苦しみだ。しかも死んでいるか、生きながらえて恥を
忍
(
しの
)
んでいるか、二つの
凶事
(
きょうじ
)
の
中
(
うち
)
から、決定しなくてはならないのに! わしは人間に想像力があるのが恐ろしい。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
その、山のように撒くお
捻
(
ひね
)
りのなかに、たった一つ、道場のお嬢様
萩乃
(
はぎの
)
の手で、吉事ならば
紅筆
(
べにふで
)
で、今日のような
凶事
(
きょうじ
)
には
墨
(
すみ
)
で、
御礼
(
おんれい
)
と書いた一包みの銭がある。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
宗易の家族から、事情を聞いた人々は、やがてそうした
凶事
(
きょうじ
)
が、同じ十人衆として名を連ねている自分らの身にもふりかかって来るのではないかと、色を失って、嘆息の
体
(
てい
)
を並べていた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“凶事”の意味
《名詞》
凶事(きょうじ)
縁起が悪いこと。不吉なこと。
(出典:Wiktionary)
凶
常用漢字
中学
部首:⼐
4画
事
常用漢字
小3
部首:⼅
8画
“凶事”で始まる語句
凶事出来