内端うちは)” の例文
けれどもむかしから懇意こんいものことはらずとめて、老人夫婦としよりふうふ内端うちは世話せわをしてれる、よろしくばそれへ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
内端うちは女心をんなごゝろくにもかれずこほつてしまつたのきしづくは、日光につくわう宿やどしたまゝにちひさな氷柱つらゝとなつて、あたゝかな言葉ことばさへかけられたらいまにもこぼれちさうに、かけひなか凝視みつめてゐる。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
真面目な話にえいもさめたか、愛吉は肩肱かたひじ内端うちはにして、見るとさみしそうであわれである。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今度こんどのは完成くわんせいした。して本堂ほんだう正面しやうめんに、さゝえかず、内端うちはんだ、にくづきのしまつた、ひざはぎ釣合つりあひよく、すつくりとつたときはだえ小刀こがたなさえに、あたかしもごとしろえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
されば誰はばかるというではないが、戸を開けるのも極めて内端うちはじゃあったけれども、これがまた台所の板の間に足を踏伸ばし、口を開けてめじりを垂れていた、八ツさがりの飯炊の耳には恐しく響いたので
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お米の二つ折る指がしなって、内端うちはに襟をおさえたのである。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)