つはもの)” の例文
いかづち、大風のやうに聞えければ、平家のつはものども、あはや源氏の大勢の向ひたるは——”と名手の声曲で聞かせられると、真に迫ること一倍である。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここに大山守の命は、天皇の命に違ひて、なほ天の下を獲むとして、その弟皇子おとみこを殺さむとする心ありて、みそかつはものけて攻めむとしたまひき。
その夢は早晩いつか醒むべし。トロアスのつはもの黒き蟻の群の如くえものを載せて岸に達せば、その夢いかでか醒めざることを得ん。
勝四郎は雀部ささべに従ひて京にゆき、絹ども残りなく交易せしほどに、当時このごろ都は四三花美くわびを好むときなれば、四四よき徳とりてあづまに帰る用意はかりごとをなすに、今度このたび上杉のつはもの鎌倉の御所をおと
手もすまにかなしびまた書かずつはものが妻や九人ここなたりの母や
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
つはものかなと見えたり。
武士を夷ということの考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
見よつはもの等、われの心は
従軍行 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
(その時に作れる矢は、その箭の同一七を銅にしたり。かれその矢を輕箭といふ。)穴穗あなほの御子もつはものを作りたまひき。
法皇のつはものは騎馬にて門の傍に控へたり。門の内なる小き園には五色の紙燈をり、正面なる大理石階には萬點の燭を點せり。きざはしのぼるときは奇香衣を襲ふ。
召されけり老いしつはもの若やぐとおもてもふらね多きかも子ら
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
驚きて當藝志美美をせむとしたまふ時に、神沼河耳の命、そのいろせ神八井耳の命にまをしたまはく、「なねが命、つはものを持ちて入りて、當藝志美美を殺せたまへ」
さかひつはものも汝が翼を遮ることあるまじきぞ。その一裹は尊き神符にて、また打出の小槌なり。おのが寶を掘り出さんまで、事くことはあらじ。黄金も出づべし、白銀しろかねも出づべしといふ。
ひた攻めのぼるつはもの勝鬨かちどきすでに年りぬ。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)