兵部卿ひょうぶきょう)” の例文
もうそんなことは言わずにおこうと思ったが、だれも聞いていないのだから事実を私に聞かせてくれ、それは兵部卿ひょうぶきょうの宮様のことだ。
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
一つ さきには讒構ざんこうをもうけて、巧みに、兵部卿ひょうぶきょうノ親王(大塔ノ宮)を流離りゅうりに陥す。その罪の六。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮は時が時であったから苦しくお思いになって、桐壺きりつぼ宿直とのい所へおいでになり、手紙を書いて宇治へお送りになったあとも
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮とか左衛門督さえもんのかみとかにもお頼みしよう。私も一冊書く。気どっておられても私といっしょに書くことは晴れがましいだろう」
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
娘にこうした麗人を持っているということを世間へ知らせるようにして、よくおいでになる兵部卿ひょうぶきょうの宮などに懊悩おうのうをおさせするのだね。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮も始終二条の院へおいでになって、音楽に趣味を持つ方であったから、よくいっしょにそんな遊びをされるのであった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と言い、その話を以前よりも細かに申し上げ、兵部卿ひょうぶきょうの宮のことを、尊敬を払うふうで、お恨み申しているようには申さずお話をして
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
三月ごろの空のうららかな日に、六条院へ兵部卿ひょうぶきょうの宮がおいでになり、衛門督もおたずねして来た。院はすぐに出ておいになった。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮のおいでになった時にだけはお居間のほうでお会いになろうという気持ちにおなりになって、まず歌をお取り次がせになった。
源氏物語:42 まぼろし (新字新仮名) / 紫式部(著)
それでもこぼれるような愛嬌あいきょうが何にも出てくるのを、兵部卿ひょうぶきょうの宮などはお知りになって、夢中なほどに恋をしておいでになった。
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮だけはどうしてもこの恋を遂げたいという熱意を持っておいでになる。これも前生の約束事であったのかもしれぬ。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
こんなに不思議な清香の備わった人である点を兵部卿ひょうぶきょうの宮は他のことよりもうらやましく思召おぼしめして、競争心をお燃やしになることになった。
源氏物語:44 匂宮 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮は、もう成年式も済んだ以上、何も結婚を延ばす理由はないとお言いになって、熱心に源氏の同意をお求めになるのであったが
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
今の世間の者は昔の音楽の盛んな時を知らないからでもありますか衛門督えもんのかみの和琴、兵部卿ひょうぶきょうの宮様の琵琶びわなどを激賞いたします。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮か右大将に結婚を許そうか、そうして良人おっとの家へ行ってしまえばこの悩ましさから自分は救われるかもしれない。
源氏物語:26 常夏 (新字新仮名) / 紫式部(著)
これほど上手じょうずであるという評判はなかったのであるがと親王がたも驚いておいでになった。琴は兵部卿ひょうぶきょうの宮があそばされた。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
雨が少し降って、前の庭の紅梅が色も香もすぐれた名木ぶりを発揮している時に、兵部卿ひょうぶきょうの宮が訪問しておいでになった。
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
例の兵部卿ひょうぶきょうの宮も来ておいでになった。丁子ちょうじの香と色のんだうすものの上に、濃い直衣のうしを着ておいでになる感じは美しかった。
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮も普通でない気配けはいのある返事をお読みになったため、どんなふうな気になっているのであろう、自分を愛していることは確かであるが
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「こちらの梅はことによい。兵部卿ひょうぶきょうの宮は宮中においでになるだろうから、一枝折らせてお持ちするがいい。『知る人ぞ知る』(色をも香をも)」
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それらと、兵部卿ひょうぶきょうの宮のまだ元服前の王子、そのほかの親王がたの子息、御親戚しんせきの子供たちを多く院はお選びになった。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮などが求婚者で、深刻な情熱の盛られたお手紙が送られていて、そのほうへ心がかれるのではなかろうかと思うと気の毒な気にもなる。
源氏物語:30 藤袴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
物思いがなかったなら、源氏の美は目をよろこばせることであろうと玉鬘は思った。兵部卿ひょうぶきょうの宮からお手紙が来た。白い薄様うすようによい字が書いてある。
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮は美しい人をほのかに御覧になったあの秋の夕べのことをどうしてもお忘れになることができなかった。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮は宇治へお通いになることが近ごろになっていっそう困難になり、不可能にさえなったために、中の君を京へ迎えようと決心をあそばした。
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
の楽を律へ移すのに「喜春楽きしゅんらく」が奏されて、兵部卿ひょうぶきょうの宮は「青柳あおやぎ」を二度繰り返してお歌いになった。それには源氏も声を添えた。夜が明け放れた。
源氏物語:24 胡蝶 (新字新仮名) / 紫式部(著)
今日は按察使あぜち大納言家へ兵部卿ひょうぶきょうの宮が来ておいでになった。以前よりもずっと邸が荒れて、広くて古い家に小人数でいる寂しさが宮のお心を動かした。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮のことも私がお受け合いする以上は不安もなかろうと思って任せてくだすってよさそうなものですがね
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮と申した方は今は式部卿しきぶきょうになっておいでになって、当代の御外戚として重んぜられておいでになる宮の姫君も、予定どおりに後宮へはいって
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮は出奔してくることを浮舟が受諾して来ないし、返事さえ一つ一つは書いてよこさなくなったのは、大将が上手じょうずに、その人をなだめてしまい
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
近ごろはどうしたことでしょう、兵部卿ひょうぶきょうの宮の姫君のほかはだれもきらいになっておしまいになったふうですね。
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
宇治の女王にょおうたちの話を、やや誇張も加えてお告げすることによって、宮のお心を煽動してみようと思い、閑暇ひまな日の夕方に兵部卿ひょうぶきょうの宮をおたずねしに行った。
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いつものように夜がしらみ始めると御寺みてらの鐘が山から聞こえてきた。兵部卿ひょうぶきょうの宮を気にしてせき払いをかおるは作った。実際妙な役をすることになったものである。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
こんなにも世の中から離れてしまいました身の上では兵部卿ひょうぶきょうの宮様のほうへも伺いにくくてまいれませんほどで、ついおたずねもできないのでございました。
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
失恋の悲しみをした人のたくさんある中にも兵部卿ひょうぶきょうの宮などはことに残念がっておいでになる一人であった。
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
だれがお手引きをしたのか兵部卿ひょうぶきょうの宮が通っていらっしゃるようになりまして、それを宮の御本妻はなかなか権力のある夫人で、やかましくお言いになって
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
入道の宮は兵部卿ひょうぶきょうの宮が、後宮入りを目的にして姫君を教育していられることを知っておいでになるのであったから、源氏と宮が不和になっている今日では
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兄君の兵部卿ひょうぶきょう親王もその説に御賛成になって、それで先帝の第四の内親王は当帝の女御におなりになった。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「あのひじりみや様の姫君は二人と聞いていましたがね、兵部卿ひょうぶきょうの宮の奥様はどうなの、そのお一人でしょう」
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
二条の院へお帰りになった兵部卿ひょうぶきょうの宮は、恋人のありかについて夫人があくまでも沈黙を守り続けたのは同情のないことであったとお恨めしくお思われになる心から
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
毎年の例のように今夜は音楽の遊びがあるであろうとお思いになって、兵部卿ひょうぶきょうの宮が来訪された。
源氏物語:38 鈴虫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょう親王は源氏の官位剥奪はくだつ時代に冷淡な態度をお見せになって、ただ世間の聞こえばかりをはばかって、御娘に対してもなんらの保護をお与えにならなかったことで
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮のお心も、源氏の大将の心もあわてた。驚きの度をどの言葉が言い現わしえようとも思えない。宮は式の半ばで席をお立ちになって簾中れんちゅうへおはいりになった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この問題で陛下も御不快に思召おぼしめすようだし、兵部卿ひょうぶきょうの宮も恨んでおいでになると聞いたが、あの方は思いやりがあるから、事情をお聞きになって、もう了解されたようだ。
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
惟光が来たというので、源氏は居間へ呼んで様子を聞こうとした。惟光によって、女王が兵部卿ひょうぶきょうの宮邸へ移転する前夜であることを源氏は聞いた。源氏は残念な気がした。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
高級役人や殿上人の饗膳きょうぜんなどは内蔵寮くらりょうから供えられた。左大臣、按察使あぜち大納言、とう中納言、左兵衛督さひょうえのかみなどがまいって、皇子がたでは兵部卿ひょうぶきょうの宮、常陸ひたちの宮などが侍された。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
お迎えに兄君の兵部卿ひょうぶきょうの宮がおいでになった。はげしい風の中に雪も混じって散る日である。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
今まで左大将を兼ねていた右大臣が軍職のほうだけを辞し、右が左に移り、右大将が親補されたのである。新任の挨拶あいさつにほうぼうをまわった薫は、兵部卿ひょうぶきょうの宮へもまいった。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿ひょうぶきょうの宮は左大臣家の賭弓のりゆみの二次会、相撲の時の宴会などには出席されたことを思って、第一の貴賓として右大臣は御招待申し上げたのであったが、おいでにならなかった。
源氏物語:46 竹河 (新字新仮名) / 紫式部(著)
太宰帥だざいのそつの宮といわれた方は兵部卿ひょうぶきょうになっておいでになるのであるが、陛下へ杯を献じた。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)