先端せんたん)” の例文
得たりと勢込んで紀昌がその矢を放てば、飛衛はとっさに、傍なる野茨のいばらえだを折り取り、そのとげ先端せんたんをもってハッシと鏃をたたき落した。
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ちたひくたけ垣根かきねつよ筋力きんりよくもつ破壤はくわいするになん造作ざうさもないはずであるが、先端せんたんれしめることさへ出來できないでるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わかった、わかった、その棒は、伸縮自在しんしゅくじざい魔法棒まほうぼうなのだ。それにしても、そんな棒を何に使うのかと見ていると、小男はその先端せんたんかぎのようなものをとりつけた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
雨とも見えぬ空合そらあいなのに、塔の先端せんたんりんの根もとから、ザーッとたきのような水がながれてきて、塔の四面はさながら、水晶すいしょう簾珠れんじゅをかけつらねたごとく、龍太郎の身も小文治のからだも
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中心ちうしんに一ぽん青竹あをだけてられて先端せんたんあをあかとのかさねた色紙いろがみつゝんである。周圍しうゐにはれも四ほん青竹あをだけてられてそれにはなはつてある。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その一端いったんにつけたる小型のスポイトよりなるものにして、スポイトを指先で押すときは、家ダニ容器の先端せんたんより、人知れず家ダニを発射し、相手にタカラしむることを得るものである。
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)