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僻村
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へきそん
ふりがな文庫
“
僻村
(
へきそん
)” の例文
かくて日本には今「遊民」という不思議な階級が
漸次
(
ぜんじ
)
その数を増しつつある。今やどんな
僻村
(
へきそん
)
へ行っても三人か五人の中学卒業者がいる。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
山陰道
(
さんいんどう
)
の山中で、冷酷な自然と、惨忍なる搾取との迫害から、その
僻村
(
へきそん
)
全体が寒さのために凍死し、飢餓のために餓死しなければならないのであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
たたき、また、
僻村
(
へきそん
)
の友など訪ねて
琴棋
(
きんき
)
をもてあそび、詩画に興じ、まったく往来のはかり難い兄のことですから……今日も何処へ行きましたことやら?
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アテラという地名がそういう
僻村
(
へきそん
)
の名になっていることは、かつて自分もその理由を考えてみたことがある。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
秋は早い奥州の或
山間
(
さんかん
)
、何でも
南部
(
なんぶ
)
領とかで、
大街道
(
おおかいどう
)
とは
二日路
(
ふつかじ
)
も
三日路
(
みっかじ
)
も横へ折れ込んだ途方もない
僻村
(
へきそん
)
の
或
(
ある
)
寺を心ざして、その男は鶴の如くに
癯
(
や
)
せた病躯を運んだ。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
田舎
殊
(
こと
)
に山間の
僻村
(
へきそん
)
では別に手習師匠もござりませんので、寺の住持が片手間に教えて居ります。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
信州
(
しんしゅう
)
の
戸隠
(
とがくし
)
山麓なる
鬼無村
(
きなしむら
)
という
僻村
(
へきそん
)
は、避暑地として
中々
(
なかなか
)
佳
(
よ
)
い
土地
(
ところ
)
である、自分は数年
前
(
ぜん
)
の夏のこと
脚気
(
かっけ
)
の
為
(
た
)
め、保養がてらに、数週間、
此地
(
ここ
)
に
逗留
(
とうりゅう
)
していた事があった。
鬼無菊
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
父の性質としてかういふ
煩
(
うるさ
)
い役務は好まなかつたのであるが、人物に乏しい
僻村
(
へきそん
)
では他に適當な候補者が見つからないので、
據所
(
よんどころ
)
なく選ばれ據所なく承諾したのらしかつた。
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
信濃
(
しなの
)
の国々の谷谷谷深く相
交叉
(
こうさ
)
する、山また山の
僻村
(
へきそん
)
から招いた、山民一行の祭に参じた。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俺の母親は中国の
僻村
(
へきそん
)
で地蔵堂の縁の下に死んだが、父親はまだ何処かに生きて居るべき筈だ。おまき婆が言うように不義な恋から生みつけられた俺にしろ、父は父であるべき筈だ。
苦力頭の表情
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
一体私は東北の
僻村
(
へきそん
)
の出で、祖先の名は、源九郎義経とも平清盛とも伝わらず、元禄時代からの
墓碑
(
ぼひ
)
も残っているが、全くの水呑み百姓である、祖先のお蔭で中農程度の土地は持っていたが
銭形平次打明け話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
山間の
僻村
(
へきそん
)
、人皆
淳朴
(
じゅんぼく
)
で、休んだ大黒屋旅館も気持のいい家であった。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
上野城を分捕り、三郎兵衛の首を得るときは、何びとにもあれ、その功を
上達
(
じょうたつ
)
し、存分、
御褒美
(
ごほうび
)
を取らすであろうぞ。——時を得ずして
僻村
(
へきそん
)
にある勇者は出でよ。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
尤
(
もっと
)
も近年の
罎詰
(
びんづめ
)
小売法が考案せられてから、急に
僻村
(
へきそん
)
でも酒が手に入りやすくなり、従って酒を飲む癖を普及させたことは争われないが、是とても時を構わずに飲むという慣習が
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
荒涼たる
僻村
(
へきそん
)
の風情も文字の外にあらわれたり。岩のとげとげしきも見ゆ。雨も降るごとし。
小児
(
こども
)
もびしょびしょと
寂
(
さみ
)
しく通る。天地この時、ただ黒雲の下に
経立
(
ふつた
)
つ幾多馬の子ほどのお犬あり。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
埴生村
(
はにゅうむら
)
は、亀岡二万石の領地端れの
僻村
(
へきそん
)
で、小大名の行政も行届かないところから、それをつけ込んで
斑鳩嶽
(
いかるがだけ
)
に山荘を構えている
雨龍
(
あまりゅう
)
太郎という乱世時代からの郷士が
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここは、関屋を五里六里、
山路
(
やまみち
)
、野道を分入った
僻村
(
へきそん
)
であるものを。——
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
僻
漢検準1級
部首:⼈
15画
村
常用漢字
小1
部首:⽊
7画
“僻”で始まる語句
僻
僻地
僻目
僻見
僻陬
僻耳
僻事
僻遠
僻論
僻在