何様どう)” の例文
旧字:何樣
当人は人一倍困悶こんもんしたが、何様どうも病気には勝てぬことであるから、暫く学事を抛擲はうてきして心身の保養につとめるが宜いとの勧告に従つて
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
其中そのなかの一人は同じ村外れの一軒のあばから金色きんいろの光りが輝きいでるのを見て不思議に思つてうかがつて見ますと何様どうでせう
金銀の衣裳 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
「然しあんなに駄目を押して、予防線くぎをさすッてエなア何様どういつもの洞喝おどかしだろうが——奴等も大部こたえたらしいナ」
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
すると筑波は「久しゅう逢わなんだねえみいちゃん。何様どうしたんだえ。よう帰ってお出でだ」と云いそうに依然やはりゆったりとして気高く清く眺められた。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
何様どう何処どこかで相見んと〕
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
良兼は何様どうかして勝を得ようとしても、尋常じんじやうの勝負では勝を取ることが難かつた。そこで便宜べんぎうかゞひ巧計を以て事をさうと考へた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
三年越し同棲いっしょに成って来たと云うが、苦味走った男振りも、変な話だが、邪慳じゃけんにされる所へ、細君の方が打ち込んで、随分乱暴で、他所目よそめにも非道いと思う事を為るが、何様どうにか治まって来た。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
二人が言は悉皆しっかい信ずべきか何様どうかは疑わしかったろう。然し氏郷は証拠とすべきところの物を取って、且二人を収容して生証拠とした。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
気が付いて探したが、かいくれ見えぬ、相済まぬことをした、と指を突いてわしがあやまったら聟殿は頬をふくらしても何様どうにもなるまい。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
斯様かうなればたがひ怨恨ゑんこんかさなるのみであるが、良兼の方は何様どうしても官職を帯びて居るので、官符はくだつて、将門を追捕すべき事になつた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
別の世界の別の自分になつたやうな気がして、まさかに死んで別の天地に入つたのだとは思は無いが、何様どうも今までに覚えぬ妙な気がした。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
其時其人其事情に因って主人の用意は一様に定った事では有るまいが、利家が此日人々を何様どう組合せて坐らせたかは分らない。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何様どうも十分調べて置いてシツッコク文字論をするので講者は大に窘められたのでしたが、余り窘められたのでやがて昂然として難者に対って
学生時代 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
別に将門が貞盛を何様どう斯様かうのしたといふことは無くて、かへつて貞盛の方で将門を悪く言つたことの有るといふ事実である。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
確かに確かに関白と北条とを見積ってから何様どうとも決めようという料簡だ、向背の決着に遅々としたとて仕方は無いのだ。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼女は其後何様どうなったかは伝わって居らぬが、恐らくは当時の有識階級の女子であったから、多分は仏縁に引かれて化度けどされたでもあったろう。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
慧心寂心の間に斯様かような話の事実が有ったろうが、無かったろうがそんなことは実は何様どうでもよい、ただ斯様こういう談が伝わっているというだけである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
思うても見られい、公方と管領とが総州を攻められた折は何様どうじゃ。総州がを立てたが故に攻められたのじゃ。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
其の頼み切った家臣の安富元家を此処の南のしょうの奉行にしたが、政元の威権と元家の名誉とを以てしても、何様どうもいざこざが有って治まらなかったのである。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
紙の冠被った僧は其後何様どうなったか知らぬが、これでは寂心という人は事業などは出来ぬ人である。道理で寂心が建立したという堂寺などの有ることは聞かぬ。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
十兵衞になり私になり二人共〻になり何様どうとも仰せつけられて下さりませ、御口づからの事なれば十兵衞も私も互に争ふ心は捨て居りまするほどに露さら故障はござりませぬ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
何様どうしてやるにも遣り様なく、困りきつて逃亡かけおちとまで思つたところを、黙つて親方から療治手当も為てやつて下された上、かけら半分叱言らしいことをわつちに云はれず、たゞ物和しく
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)