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伝染
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うつ
ふりがな文庫
“
伝染
(
うつ
)” の例文
旧字:
傳染
そのうちにそれへ自分のでない咳がまじっているのに気がつく。どうも彼の真上の寝台の中でするらしい。おれの咳が
伝染
(
うつ
)
ったのかな。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「ああそうか、なるほどなるほど、いかにもそうでしたね、……そりゃ叔父さんのクセが
伝染
(
うつ
)
って六ヶ敷しく考えすぎたかナ……」
白金神経の少女
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
『あゝ、
伝染
(
うつ
)
りはすまいか。』どうかすると
其様
(
そん
)
なことを考へて、先輩の病気を恐しく思ふことも有る。幾度か丑松は自分で自分を
嘲
(
あざけ
)
つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
舞台で人生を
演活
(
しいか
)
すためには、
平素
(
ふだん
)
からかうした
囚
(
とら
)
はれない情態が必要なのか、それとも舞台の心持が家庭生活にまで
伝染
(
うつ
)
つてゆくのだらうか。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お前今日から俺んところに寄りつくんでねえぞ。俺は俺だしお前はお前だからな。お前おやぢのとこさ帰れ、よ。俺の病気が
伝染
(
うつ
)
つたら、お前御難を
骨
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
『なぜお葬式を出さないの? そんなにして居たら死毒と云ふものが
伝染
(
うつ
)
つてあなたが死んで了はねばならんよ——』
死線を越えて:02 太陽を射るもの
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
私はただ、一つの部屋におりましたというのみのこと、
伝染
(
うつ
)
るのを恐れて、投げ入れられましたなれど、実はこのとおり
健
(
すこ
)
やかなのでございますから
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
また自分がいらいらしていたり、くさっていたりしては、自分の病的な気分を他人にまで
伝染
(
うつ
)
したりしてしまいます。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼女は私の身熱のあまりに高かつたため何時しか病を
伝染
(
うつ
)
されて、私の身代りに死んだのである。私の彼女に於ける、記憶は別にこれといふものもない。
水郷柳河
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
磯二なんか
伝染
(
うつ
)
ると言うて、決して一所に飯など食はん、お桐が納戸から出て来るとお膳を持つて広間へ出て行くもんやさかい、あれも何かにつけて気兼するし
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「食べものからよく
伝染
(
うつ
)
ることがありますね。からだの弱い人はやはりすぐにうつりやすいようです。」
性に眼覚める頃
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
信一郎は、愛妻に逢う前に、
何
(
ど
)
うかして、乱れている自分の心持を、整えようとした。なるべく、穏やかな平静な顔になって、自分の
激動
(
ショック
)
を妻に
伝染
(
うつ
)
すまいとした。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
『だけど私が言つたなんか言つちや
不可
(
いや
)
よ。よ、昌作
様
(
さん
)
、貴方も
伝染
(
うつ
)
らない様に用心なさいよ。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その頃北陸の片田舎のお医者さんは、コレラは生水をのんだために
伝染
(
うつ
)
ったということから類推したのかも知れないが、患者に絶対に水をのませなかったという話である。
兎の耳
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
夫も心配だけれども、赤ン坊にも
伝染
(
うつ
)
りはしないかと随分心配だわ。だって赤ン坊は他所の子ですもの。夫が思いもかけぬ大病になって、その中で赤ン坊を馴れぬ手に育てる。
愛の為めに
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
浅葱
(
あさぎ
)
の袖口をびらつかせた時、その、たたき込んだ
張扇
(
はりおうぎ
)
とかで、人の大切な娘をただで水仕事をさせ、抱きまでして、
姑
(
しゅうと
)
に
苛
(
いじ
)
めさせた上、トラホームが
伝染
(
うつ
)
るから
実家
(
さと
)
へ帰した
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
死ぬる迄可愛がろうとしたバッテン
天婦羅
(
てんぷら
)
が天井へ行かんちうて逃げた……なんて聞けば聞く程馬鹿らしいけに俺がそうっとアクビしたところがそいつが寝ている篠崎に
伝染
(
うつ
)
って
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「いいえお女郎から
伝染
(
うつ
)
るといいますよ。お女郎にゃ随分あるんですって。」
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この時下男の八蔵が、突然大きな
嚏
(
くしゃみ
)
をした。彼はいくらかおろかしいのであった。さっきから一人
茫然
(
ぼうぜん
)
と雪中に立っていたのであった。下男の嚏が
伝染
(
うつ
)
ったのでもあろう、一閑斎も嚏をした。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『可哀想に。あの優しい女は私の肺病が
伝染
(
うつ
)
つたよ。』
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
考えてみると、保土ヶ谷の宿で給仕に出た女中が、
頻
(
しき
)
りに手指を掻いていたのを思い出した。あの女中から
伝染
(
うつ
)
されたのだと思ったが、どうすることもできなかった。
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
汗疹
(
あせも
)
のようなものが一人に出来ると、そいつが他の子供にまで
伝染
(
うつ
)
っちゃって——節ちゃんはあの時分のことをよく知らないだろうが、六歳を
頭
(
かしら
)
に四人の子供に泣出された時は
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
せめて
病煩
(
やみわずら
)
いの時、優しい
言
(
ことば
)
も掛けられて、苦い薬でも飲ましてもらおうと思えば、何だ、トラホームは
伝染
(
うつ
)
るから
実家
(
さと
)
へ帰れ! 馬鹿野郎、
盲目
(
めくら
)
になってボコボコ琴でも
弾
(
ひ
)
きやがれ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「今年帰らんちふことで俺も内々安心して居たが、昨日電報が来た時、嬉しいはと思うたれど、また、
伝染
(
うつ
)
りでもせんかと思うて心配でもあつたよ。勉強中で今が大事な時やさかいなア。」
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「ハックシン……フィックシイン。風邪が
伝染
(
うつ
)
ったよ」
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
なるべく、穏やかな平静な顔になつて、自分の
激動
(
ショック
)
を妻に
伝染
(
うつ
)
すまいとした。血腥い青年の最期も、出来るならば話すまいとした。それは優しい妻の胸には、鋭すぎる事実だつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
“伝染(
伝染病
)”の解説
伝染病(でんせんびょう)とは、病気を起こした個体(ヒトや動物など)から病原体が別の個体へと到達し、連鎖的に感染者数が拡大する感染症の一種である。感染経路の究明が進んでいない近代までは、ヒトや家畜など特定の動物種の集団内で、同じ症状を示す者が短時間に多発した状態(集団発生・疫病)を指していたため、現在でも「集団感染」との混同が見られる。
(出典:Wikipedia)
伝
常用漢字
小4
部首:⼈
6画
染
常用漢字
小6
部首:⽊
9画
“伝染”で始まる語句
伝染病
伝染病菌