丸打まるうち)” の例文
この金具かなもののみにても、貴重なるものは百金を要す、平打ひらうちなるあり、丸打まるうちなるあり、ゴム入あり、菖蒲織しやうぶおりあり、くはしくは流行の部に就いて見るべし。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
瀬戸物せとものぼたんいた白木綿しろもめん襯衣しやつて、手織ておりこは布子ぬのこえりから財布さいふひもたやうななが丸打まるうちけた樣子やうすは、滅多めつた東京とうきやうなど機會きくわいのないとほやまくにのものとしかれなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
瀬戸物のボタンの着いた白木綿しろもめん襯衣シャツを着て、手織のこわ布子ぬのこえりから財布のひもみたような長い丸打まるうちをかけた様子は、滅多めったに東京などへ出る機会のない遠い山の国のものとしか受け取れなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なんですね、御米およねさん、この御部屋おへやなつすゞしさうで結構けつこうだが、これからはちとさむ御座ござんすね」とつた。叔母をばくせのあるかみを、奇麗きれいまげつて、古風こふう丸打まるうち羽織はおりひもを、むねところむすんでゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)