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せちがら
ふりがな文庫
“
世智辛
(
せちがら
)” の例文
「さやうさ。当今では大分
世智辛
(
せちがら
)
くなりましてな。薬価の代りに畑の物を貰つてすませる位のことはさう珍しくはありませんよ」
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
尤もお伽噺の世界から目覚めたのは僕ばかりでなく、同級生も皆
夫
(
そ
)
れ
夫
(
ぞ
)
れ
世智辛
(
せちがら
)
さを覚え始めた。寄ると触ると将来の活動方面を語り合う。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
浮世は全く
世智辛
(
せちがら
)
くなった。何でもない普通の占いをするのに、運命をお買いなさいませなどと、さも物々しく呼び止めて、度胆を抜いて金を
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
世智辛
(
せちがら
)
い、つれない浮世の洗練を経てすっきりと垢抜した心、現実に対する独断的な執着を離れた瀟洒として未練のない
恬淡無碍
(
てんたんむげ
)
の心である。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
今の
世智辛
(
せちがら
)
い世の中に、こんな広大な「何の役にも立たない」地面の空白を見るだけでも心持がのびのびするのである。
浅間山麓より
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
今時
世智辛
(
せちがら
)
くなり、多く俗人あり、鼠穴を
毀壊
(
きかい
)
してその貯えた粟、
胡桃
(
くるみ
)
、雑果子等を盗むはこの犯罪に準ずと記す。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
追々
(
おいおい
)
と世の中が
世智辛
(
せちがら
)
くなって来たら、こうした正札一点張りの無言の商売が
大流行
(
おおはやり
)
をするようになりはすまいか。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
熟々
(
つら/\
)
考
(
かんが
)
ふるに
天
(
てん
)
に
鳶
(
とんび
)
ありて
油揚
(
あぶらげ
)
をさらひ
地
(
ち
)
に
土鼠
(
もぐらもち
)
ありて
蚯蚓
(
みゝず
)
を
喰
(
くら
)
ふ
目出度
(
めでた
)
き
中
(
なか
)
に
人間
(
にんげん
)
は
一日
(
いちにち
)
あくせくと
働
(
はたら
)
きて
喰
(
く
)
ひかぬるが
今日
(
けふ
)
此頃
(
このごろ
)
の
世智辛
(
せちがら
)
き
生涯
(
しやうがい
)
なり。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
些細
(
ささい
)
なことのようであるが、それでも効果はあった。
鞭
(
むち
)
をあげているのは継母の手を借りた人生の
世智辛
(
せちがら
)
さであるということが、追々に納得が出来るようになる。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
君江はこまこました
世智辛
(
せちがら
)
いはなしが出ると、他人の事でもすぐに面倒でたまらなくなる。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
飴屋は、東京は
世智辛
(
せちがら
)
くていけねエ、おれももう取る年だ、故郷へ帰る面は無いが、我を折ってボツボツ飴を売り乍ら、生れ故郷の土地へ帰ろうって、
一昨日
(
おととい
)
の朝チャルメラを
呪の金剛石
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その台所道具の象徴する、
世智辛
(
せちがら
)
い東京の実生活は、何度
今日
(
きょう
)
までにお君さんへ迫害を加えたか知れなかった。が、
落莫
(
らくばく
)
たる人生も、涙の
靄
(
もや
)
を
透
(
とお
)
して見る時は、美しい世界を展開する。
葱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
寝呆
(
ねぼ
)
けていたんじゃねえよ。へん、この
世智辛
(
せちがら
)
い世の中に誰が寝呆けていられますかというんだ。信用しなきゃいいよ。とにかくおれは、ちゃんとこの二つの眼で鞄の化物を見たんだから……」
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「この
世智辛
(
せちがら
)
い世の中に、皆、いい気なものじゃ」
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
世智辛
(
せちがら
)
き
浮世咄
(
うきよばなし
)
や
門涼
(
かどすず
)
み
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
が、こう世の中が
世智辛
(
せちがら
)
くなっては緑雨のような人物はモウ出まいと思うと何となく
落莫
(
らくばく
)
の感がある。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
とにかくこうなるとせっかくの最初の空想も雲消霧散して残るものは
世智辛
(
せちがら
)
い苦々しい現実である。
雑記帳より(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
世智辛
(
せちがら
)
い時勢だ。中学一年生が生活問題の解答をしなければならない。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
戦後の
世智辛
(
せちがら
)
さではどうなったかそれは知らない。とにかく日本などでは、まだなかなかそういう遠大な考えで学者の飼い殺しをする会社はそう多数にはあるまいと思われる。
学問の自由
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
世
常用漢字
小3
部首:⼀
5画
智
漢検準1級
部首:⽇
12画
辛
常用漢字
中学
部首:⾟
7画
“世智”で始まる語句
世智
世智賢