-
トップ
>
-
べつさう
一昨日の
晩宵の
口に、
其の
松のうらおもてに、ちら/\
灯が
見えたのを、
海濱の
別莊で
花火を
焚くのだといひ、
否、
狐火だともいつた。
男らしく
思ひ
切る
時あきらめてお
金さへ
出來ようならお
力はおろか
小紫でも
揚卷でも
別莊こしらへて
圍うたら
宜うござりましよう、
最うそんな
考へ
事は
止めにして
機嫌よく
御膳あがつて
下され
おもへば
四年の昔なりけり、
南翠氏と
共に
学海先生の
此の
別荘をおとづれ、朝より
夕まで
何くれと
語らひたる
事ありけり、
其時先生左の
詩を
示さる。