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せきやま
「
真木島の十郎と、
高市の
多襄丸と、——ああ、そうだ。
関山の
平六へは、お前さんに、言づけを頼もうかね。」
我が
隣駅関といふ
宿につゞきて
関山といふ村あり、此村より
魚野川を
渡るべき
橋あり。流れ
急なれば
僅の
出水にも橋をながすゆゑ、
仮に
造りたる橋なれど川
広ければはしもみじかからず。
あの
死骸の
男には、
確かに
昨日遇つて
居ります。
昨日の、——さあ、
午頃でございませう。
場所は
關山から
山科へ、
參らうと
云ふ
途中でございます。
私は
佐渡と
云ふ
所は、
上野から
碓氷を
越えて、
雪の
柏原、
關山、
直江津まはりに
新潟邊から、
佐渡は
四十五里波の
上、と
見るか、
聞きかするものだ、と
浮りして
居た。
あの
男は
馬に
乘つた
女と一しよに、
關山の
方へ
歩いて
參りました。
女は
牟子を
垂れて
居りましたから、
顏はわたしにはわかりません。
見えたのは
唯萩重ねらしい、
衣の
色ばかりでございます。