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關山
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せきやま
あの
死骸の
男には、
確かに
昨日遇つて
居ります。
昨日の、——さあ、
午頃でございませう。
場所は
關山から
山科へ、
參らうと
云ふ
途中でございます。
私は
佐渡と
云ふ
所は、
上野から
碓氷を
越えて、
雪の
柏原、
關山、
直江津まはりに
新潟邊から、
佐渡は
四十五里波の
上、と
見るか、
聞きかするものだ、と
浮りして
居た。
あの
男は
馬に
乘つた
女と一しよに、
關山の
方へ
歩いて
參りました。
女は
牟子を
垂れて
居りましたから、
顏はわたしにはわかりません。
見えたのは
唯萩重ねらしい、
衣の
色ばかりでございます。