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きしゆくしや
次に
申したいのは
責任を
自から
知るといふの
點であります。
英學塾の
寄宿舍には
唯今五十
名足らずの
生徒が
居ます。
此某町から
我村落まで七
里、
若し
車道をゆけば十三
里の
大迂廻になるので
我々は
中學校の
寄宿舍から
村落に
歸る
時、
決して
車に
乘らず、
夏と
冬の
定期休業毎に
必ず
七
里の
途はたゞ
山ばかり、
坂あり、
谷あり、
溪流あり、
淵あり、
瀧あり、
村落あり、
兒童あり、
林あり、
森あり、
寄宿舍の
門を
朝早く
出て
日の
暮に
家に
着くまでの
間、
自分は
此等の
形、
色、
光
若し入学すれば校則として
当初の一年間は
是非とも
狂暴無残な
寄宿舎生活をしなければならない事を
聴知つてゐたからである。
高等学校
寄宿舎内に
起るいろ/\な
逸話は早くから
長吉の
胆を
冷してゐるのであつた。